『75歳以上のばあちゃんたちが働く会社 part2』 | ~100年企業を目指して~理念浸透と人材育成の教科書~

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100年続く会社の生存率を考えると奇跡に近い。1代の経営者で終わらず4~5代の経営者がバトンを繋ぎ続ける。そこに何かロマンを感じますね。どんな秘密があるのか。経営の量ではなく、経営の質に拘ったコンテンツをお送りします。

こんにちは。
理念浸透コンサルタントの松本です。


十方よし.TV12月号のゲストは、
うきはの宝株式会社 代表取締役・大熊社長。

前回に引き続き、
75歳以上のばあちゃんたちが働く
「ばあちゃんビジネス」を立ち上げた
大熊社長のお話をご紹介します。

今回のテーマは、
**「権限移譲してよかったこと」と
「権限移譲しなかったこと」**です。


■ 権限移譲したこと

それは、ばあちゃんの採用。

創業当初は、
「やる気があり、共感してくれるなら誰でもいい」
という考えで採用していたそうです。

ところが実際には、
価値観の異なるばあちゃんが次々と集まり、
メディア取材が増えるにつれて、
「自分だけを見てほしい」という
強い承認欲求を持つ方も現れました。

結果として、
協調性よりも“我”が前に出てしまい、
組織は不協和音を起こします。

多くのばあちゃんが離れ、
現場は一気に混乱状態へ。

当時を振り返り、大熊社長はこう語ります。

「まさに組織崩壊でした。
創業時の人数に逆戻りし、
本当に危機的な状態でした」


そして、残った少数のばあちゃんから
こんな言葉を投げかけられたそうです。

「社長は人を見る目がない。
どんな人も良く見えてしまう。
採用は、私たちに任せてほしい」


この一言をきっかけに、
現場の感覚を持ったばあちゃんが
『一緒に働ける仲間か』という視点で
採用を担うようになりました。

すると、定着率は一気に改善。

経営者が見る「良さそうな人」と、
現場が見る「一緒に働きたい人」は、
必ずしも同じではないのかもしれません。



■ 権限移譲しなかったこと

一方で、大熊社長が
あえて任せなかったことがあります。

それが、**「値決め」**です。

密な干し芋をはじめ、
通販で扱う商品づくりには
ばあちゃんたちの知恵が欠かせません。

しかし価格だけは、
ばあちゃんの意見を聞かず、
社長自身が決めているそうです。

理由はシンプル。

ばあちゃんたちは、
「高いお金を払わせるのは申し訳ない」
「安くして、お腹いっぱいになってほしい」

という思いが強く、
極端に安い価格をつけてしまう。

その優しさが、
ビジネスとしての判断を
曇らせてしまうのです。

「値決めは経営」と言われる通り、
価格は事業継続の生命線。


市場全体を見渡し、
自分たちが提供している価値を
合理的に判断する。

そこは、
経営者が責任を持つべき領域だと
大熊社長は考えています。

スタッフに
何を任せて、何を任せないか。

この線引きを誤ると、
中小企業の経営は
一気に行き詰まってしまいます。

権限移譲は「任せること」ではなく、
「見極めること」。


そんな示唆に富んだお話でした。