『理念と権限委譲との関係性』 | ~100年企業を目指して~理念浸透と人材育成の教科書~

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100年続く会社の生存率を考えると奇跡に近い。1代の経営者で終わらず4~5代の経営者がバトンを繋ぎ続ける。そこに何かロマンを感じますね。どんな秘密があるのか。経営の量ではなく、経営の質に拘ったコンテンツをお送りします。

『理念と権限委譲との関係性』

こんにちは。
理念浸透コンサルタントの松本です。
 
当然のことながら、事業を拡大していくためには
社長が不在でも自動的に会社が動く状態を作らなければいけません。
 
ある程度の規模まで行けば、
社長一人で会社の隅々まで目を行き届かせることは不可能。
 
社長が信頼できる幹部を中核に置き、
彼らが部門経営をしていかなくてはいけません。
 
ただしここで問題がよく起こります。
権限委譲がしたくてもできないという現実です。
 
 
Y幹部:「T社長は“お前に任せる”と言ったのに
    あんなに細かく指示されたら、
    こちらのやる気が下がってしまいますよ。
    信頼していないんですかね。
    結局、みんな社長を見て仕事をしてしまいます」
 
T社長:「Y幹部に任せられるなら任せたい。
    でも心配でどうしても口を出してしまうんです。
    このままいくと失敗すると予測できてしまうので」
 
 
私はT社長へ質問しました。
 
「Yさんはこれまで実績を出してきているから、
 任せたいと思ったわけですよね?
 ブレーキを掛けてしまう理由は何ですか?」
 
「なんというか…。Yさんは確かに実績を出してきた。
 でも私が求めている考え方と少しずれることがある。
 その僅かなズレが怖いんですかね…、恐らく」
 
 
Yさんとしてはそれなりに実績を出してきた。
それなのになぜ任せてくれないのか?と不満を抱いています。
 
 
この問題の根本は
T社長とY幹部の価値観のズレです。
実際に全国展開している企業によく見られることです。
 
東京本社と扱っている商材は一緒ですが、
地方進出した時から、支店が別会社のようになる。
 
実績を上げてきたエースを支店長に据えたはずが、
なぜか本社とは違う風土ができあがってしまうのです。
 
 
T社長が本能的にY幹部に任せられないのは、
おそらく「能力」の問題ではなく、「価値観」の問題。
そのズレがあるから口を挟んでしまうのでしょう。
 
 
ですから社長が権限委譲をしていきたい、
社長業へ専念していきたい、と考えるのであれば、
経営幹部へ「価値観」のインストールを
していかなければいけませんね。
 
手法ではなく「価値観」を伝承していってください。