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このブログを読んでいるという事は「CSEまたは包括的性教育ってなんだろう?」と検索されたと推測します。少し長いですが、改訂版国際セクシュアリティ教育ガインダンスの考えをもとに、包括的性教育とは何なのか?について説明しますので是非最後までお付き合いください。
ここではブログタイトル「家庭で始める性教育のススメ」の通り、実際に幼児の子ども(♀)を育てている視点で、家庭ではどんな事ができるか?に注目していきます。ここに書かれていることが包括的性教育の全てではない点をご理解下さい
さて、改訂版国際セクシュアリティ教育ガイダンスの訳者の一人でもあり、社会学者でもある浅井先生は、包括的性教育とは何かについて、次の3つが大きな柱であると述べています(*注)。
- 乳幼児期から思春期、青年期、さらには成人期、高齢期まで全ての人にとって学ぶ意義がある
- 性的発達と人生の歩みにおける色々な局面で、賢い選択と対応ができ、自分だけでなく他者の尊厳を大切にできる知識・態度・スキルを身に着ける
- 人間関係において共生能力を獲得し、喜びを共有できる能力を獲得する
*注:出典 大槻書店 「包括的性教育」 浅井春夫著 p3ー4
硬い……、文章が硬いですよね。家庭で始めるにはどうしたらいいの〜?
まず包括的性教育は、幼児期から段階的&継続的に行う必要があると覚えましょう!
1つひとつの課題を段階的に行い、それまでの学習の上に新しい情報・知識・スキルを習得していく、まるでテスト勉強の様。でもそれが大切なのです。
イラストは、下からステップ1、2、3、と段階を踏んで最終ステップにたどり着く図です。左に、子どもに教えたいコンセプトを、右に、今日から家庭でできる事のヒントが記載されています。以下説明します。
STEP1:【自己肯定感・からだの保全】
自分の存在に自信をもつ、どんな自分でも受け止めてもらえる事を知る=自己肯定感。これがないと健康な人間関係をお友達と築くことを教える事ができません。基本的信頼関係をググッとUPさせる「大好きだよ」を沢山伝えて、毎日抱きしめたいですね。
プライベートゾーン・水着ゾーンというワードでからだの大事な部分は自分だけのものと教えてあげましょう。誰かにその部分を触らせる事は、例外を除いて絶対にだめと親が徹底する必要があります(親がお世話をする、お医者さんが診察する等)。
STEP2:【健康な人間関係・防犯】
周りの大人や子どもたちと良好な人間関係を築くには、相手を尊重する気持ちが不可欠。自分を大切にできない子は、他の子も大切にできません。コミュニケーション内容が複雑になってくる思春期までに「人には色々な意見がある、自分の意見をはっきり伝える」重要性を理解できると、この時期特有のトラブルにもより効果的に対応できる事が期待できますね。
日々の生活でお母さん・お父さんが“良い触れ合い”を実践して、反対の“悪い・ダメな触れ合い”とは何かを理解させましょう。必ず防犯に役立ちます。(参照「ボディリーオートノミーってなんだ?」「あなたの子どもは性被害を理解していますか」)
STEP3:【からだの科学】
私達親世代の最も苦手な所ですが、お子さんからいつ何どきからだの科学について質問されてもいいように準備をしましょう。どんな内容でもポイントは「動揺せずに、事実を淡々と答える事」。動揺しない為にも、今一度、からだの科学についての知識を見直す事をお勧めします。今は書店に沢山の良質な性教育の本が並んでいます。子どもの知りたい意欲を潰さないように気をつけたいものです。(参照「子どもだって知りたいんだ!」)
*注: からだに関する質問は、早い子で3〜4歳から始まります。その子の興味発達段階に応じて、話す必要がある時に対応してください。
FINAL STEAP:【性的意思決定・健全な人間関係】
1〜3のステップを幼少時から積み重ねて継続していけば、次の知識やスキルを身につける事が期待できます:
- 望まない性的行動にNOといえる
- 性被害から自分を守る方法をしっている
- 正しいからだの科学の知識に基づいた性的意思決定ができる
- 性的意思決定で困った時に相談できる
- 性の喜びを享受し、親密なパートナーと健全な関係を築ける 等等等…(書ききれない)
最終的にはイラストの一番上の性的に自立した、性の問題を効果的に解決できる、複数の選択肢から賢く後悔のない判断のできる大人へと、自分の子どもを導いてあげる事がGOALですから、勉強を教えたり、基本的な生活習慣を身に付けさせるのと同じ様に、毎日継続的な取り組みが必要であると覚えておいてください。
自分の子ども達が、将来、知識・スキルを身に着けたステキな大人になっていることを想像して、性教育の一歩を踏み出しませんか