大抵の物事には「ちゃんとした理由がある」話…なのか?
皆さん、クレープ食べますか?マリオンクレープとかディッパーダンのようなクレープ専門店からお祭りの屋台とかキッチンカーで販売してるクレープ店まで店だけでもかなりのバリエーションがありますが、ネット上では「生クリーム原理主義者」たちが
「なんで、クレープ屋のクリームはどこもかしこも(植物性の)ホイップクリームばっかりなんだ!?」
とプンスカしがちなんですが…これにはちゃんとした理由がありまして。
色々と理由はあると思いますが、最大の理由は「法律の関係」かもしれません。
今回は店舗型のクレープ店を中心に話を進めますが、ほとんどのクレープ店は開業する時に取得している許認可は
「飲食店営業許可」
という申請を管轄の保健所に申請してから開業しています。
この飲食店営業許可…実は「できないこと」が結構ありまして、この許可だけでは本格的なデザートを作って提供したり販売することができません。
以下、飲食店営業許可だけでも提供可能なデザートメニューの一覧
飲食店営業許可の範囲内で可能なスイーツメニュー
-
簡単な調理で提供できるもの
- パフェ(アイスクリーム・フルーツ・シリアルなどの組み合わせ)
- あんみつ・フルーツポンチ(カットフルーツ、寒天、餡などの盛り付け)
- ぜんざい・おしるこ(市販の餡を使用し、温めるだけならOK)
-
既製品を使用したメニュー
- 既製のスポンジを使ったショートケーキ(自家製のスポンジを作るのはNG)
- 市販のアイスクリームを使ったデザート(アフォガート、サンデーなど)
- 既製のクッキー・焼き菓子を盛り付けて提供するプレート
-
店内で調理するもの(その場で焼く・加熱する)
- クレープ(焼きたてを提供する場合)
- フレンチトースト・パンケーキ(その場で焼くならOK)
- 焼きプリン(店舗で調理・提供する場合)
- チーズケーキやガトーショコラ(店内で焼いて、店内提供のみならOK)
-
飲み物系スイーツ
- シェイク・スムージー
- フロート(コーヒーフロート、クリームソーダなど)
- ココアやホットチョコレート
これらのスイーツメニューを提供する場合でも、一定の条件がありクレープの場合は
- アイスクレープの場合アイスは既製品を使う
- 店内で生クリームを泡立てたり、カスタードクリームを炊かない
- その場で作ってすぐ提供すること
という条件付きです…本格的にお菓子を作って提供、販売したい場合は「菓子製造業許可」が別途必要になります。
クレープ店で生クリームを使用してるところは菓子製造業許可を取得して営業してると思われます。
アイスクリームを自家製にする場合はまた別途「アイスクリームの製造許可」が必要になります…自家製あんを使いたい場合も別途「あん製造許可」が必要になります。
ちなみに既製品のスイーツを仕入れて販売する場合はこの限りではありません。
これからカフェを開業して自家製スイーツを売りにしたいと考えている方、ここ重要なので覚えておいてください。
私も栄養学を勉強していましたが、学校では「自分でカフェやレストランを開業する」という働き方を前提としたカリキュラムは無いので私も自分で調べるまで知らなかったよ…。
飲食店許可も菓子製造業許可もどちらも店内のレイアウトや設備に一定の基準が定められていて、菓子製造業の方が基準が厳しいです…私も当初は「両方取って将来的にメニューの幅を広げられるようにしておこう」なんて考えていましたが、菓子製造業許可に適合した店舗にするとオペレーションの問題とか、そもそも自分の体が持たない。
ワンオペ営業のカフェによくある、10数坪でカウンター式のオープンキッチンのカフェだと菓子製造業許可はまず取れません。
どうしても生クリームを使ったクレープが食べたい生クリーム原理主義者の皆さん…ケーキ店など菓子製造業許可を取得してる店舗を探すか、もう自分で作りましょう。