感熱紙のビスフェノールA、欧州で規制へ | 化学物質過敏症 runのブログ

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・出典:ダイオキシン・環境ホルモン対策国民会議

ニュースレター第122号 2020年4月

・感熱紙のビスフェノールA、欧州で規制へ 
レシートなどから皮膚を通して吸収されるビスフェノール類に注意!
事務局・ジャーナリスト 植田武智
ビスフェノールAの内分泌かく乱物質作用とは
2020年1月、ビスフェノール A を0.02%以上含む感熱紙の禁止措置が欧州連合(EU)で施行されました。
そもそもビスフェノール Aとは、1999年に日本で内分泌かく乱化学物質が「環境ホルモン」と名付けられ、社会的問題になった時に最も注目された化学物質です。
ビスフェノール A には女性ホルモン、男性ホルモン、甲状腺ホルモンをかく乱する作用があり、動物実験や疫学研究では、従来の毒性試験で有害な影響が無いとされていた量よりも極めて低用量で、生殖器官や脳神経、免疫などへの異常が示されると報告されています。
 生殖への影響としては、精子数の減少や精子の機能異常などオスの生殖機能を低下させることが多くの動物実験で確認され、人間でも疫学研究で報告されています。

また脳への影響も多くの研究報告があり、動物実験では母体経由でばく露した仔ネズミは、攻撃性や社会性などの行動に異常が見られました。

人間にも同様の疫学報告があります。
 喘息やアトピー性皮膚炎など免疫への影響もあり、動物実験では若齢気(人間の小児期に相当)のばく露でも、低用量でもアレルギー性喘息を悪化させることを示しています。
また肥満の原因物質としても、多くの研究報告があります。

 

ビスフェノールAの従来の用途
ビスフェノール A の最大用途は、硬いプラスチックの一つであるポリカーボネート樹脂の原料、缶詰の内面塗装やレトルト食品の包装に使われる接着剤であるエポキシ樹脂の原料です。
ポリカーボネート樹脂は、子どもが使う哺乳瓶やマグカップなどにも使われてきました。しかし、海外では2009年にカナダで、2011年に EUで、2012年に米国で、子どもが使う食品容器についてのポリカーボネート樹脂の使用が禁止されています。
日本では行政による禁止措置は取られていませんが、事業者の自主的な動きにより、すでにほかのプラスチックへ代替されています。
また缶詰の内面塗装については、現在いずれの国にも規制の動きはありませんが、日本では事業者の自主努力で、エポキシ樹脂中のビスフェノール A の含有量を削減させたり、エポキシ樹脂からポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂へ切り替えたりすることで、大幅な溶出削減を達成しています。


レシートなどの感熱紙もばく露源に
ポリカーボネート樹脂やエポキシ樹脂など主要なばく露源については対策が取られてきました。

近年、新たに問題になっているのは、レシートなどの感熱紙に使われるビスフェノール類です。海外ではビスフェノール A がレシートなどの感熱紙の顕色剤として使われています。

レシート以外にも、航空券、食品包装のラベル、ATM の利用票や、ガス・水道・電気の検針票などの感熱紙にも使われています。
 顕色剤は、紙の表面にモノマーの形状で塗られていて、その量は感熱紙の重量の1~4%を占めます。

手で感熱紙の表面を触ることで簡単に手に移行し、その一部が皮膚から体内に吸収されます。感熱紙から手へのビスフェノール A の移行量は使い方によっても異なり、手が乾燥した状態では比較的少なく、ハンドクリームなどを塗り手の油脂が増えた状態では、感熱紙から皮膚への移行量が10倍にもなります。
 皮膚から体内への吸収量も手の状態によって違いがあり、手をアルコール消毒した直後には、ビスフェノール類がアルコールに溶けて体内の吸収量が増えます。

通常は手の表面から吸収されるのは10%程度ですが、アルコールと混ざると、95%が皮膚から体内に浸透するという研究もあります。