「子どもの発達への化学物質の影響」 | 化学物質過敏症 runのブログ

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・出典:ダイオキシン・環境ホルモン対策国民会議

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・「子どもの発達への化学物質の影響」


中山祥嗣氏(国立環境研究所環境リスク・健康研究センター〈エコチル調査コアセンター〉次長)
「子どもの発達への化学物質の影響」
報告者・文責 木村-黒田純子(理事)
重要な子どもの健康
 子どもの健康について、2つの大事なことばから始めたい。
 「遺伝子は変えられないけれど、環境は変えられる」(リンダ・バーンバウム〈米国立環境保健科学研究所・所長〉)
 「子どもたちは、世界で最も貴重な資源であり、未来への一番の希望である」(故・ジョン .F. ケネディ米大統領)
 私は、子どもの健康には環境が大変重要であると考えており、研究者であると同時に医師として、子どもの健康問題に取り組んでいる。
なぜ子どもの環境が重要か、考えてみよう。

まず、子どもは自らが育つ環境を選択できない。

世界では、廃棄電子基板などから溢れる有害物質に汚染された場所やストリートチルドレンなど、劣悪な環境で生活している子どもたちがいる。

また親が子どものいる車内で煙草を吸ったり、妊娠中にアルコールの摂取や喫煙をしたりするケースもある。

貧困も劣悪な環境を子どもたちにもたらしている。
では健康とは何だろう? WHOの定義によれば、「健康とは、病気でないとか、弱っていないということではなく、肉体的にも、精神的にも、そして社会的にも、すべてが満たされた状態にあること」をいう。

たしかに、疾病や障害があっても幸せになれるが、健康が人生の幸せの大きな要素となることは明らかである。

子どもの健康を守ることは医師として重要な使命と考えている。
 

今、子どもたちに起こっていること
 米国や日本で、自閉症など発達障害が急増している。

米国では自閉症の診断数が1970年代以降40年で50倍以上に増え、日本では文科省2012年の調査で40人学級中2、3人は発達障害の可能性があると報告されている。

こうした短期間での増加は、遺伝要因ではありえず、環境要因による可能性が大きい。

発達障害が急増した原因としては、診断基準の変更、発達障害への関心の向上、両親の高齢化などが関わっていると考えられるが、それらを考慮しても約半分については原因が特定できず、何らかの環境要因の関与が考えられると報告されている。

発達障害の急増は、日本の将来を考えると極めて重大な問題である。
 子どもを取り巻く環境は40年前と比べて大きく変わっている。

以前の子どもは、親から離れて、自然の中で友だちとどろんこになって遊んでいた。

一方、現在は、室内でゲームやパソコン、プラスチック玩具に囲まれ、きょうだいや友だちとも話すことが少なく、親の監視下で暮らしている子どもたちが増えている。

40年前の生活環境には、現在のような抗菌剤、人工的食料、プラスチック類などの人工化学物質はなかった。

こうした環境の変化が子どもの成長にどう影響するのか、ほとんどわかっていない。