環境省は、上記のリサイクル率とエネルギー回収率を合わせて85.8%の有効利用率を達成していると胸を張っていますが、まず熱回収をリサイクルと同等に扱うことは適切ではありません。
また、このような「廃プラの循環利用がうまくいっている」という誤った認識が、「使い捨てプラスチックの使用禁止」など世界的に進められている発生抑制対策において日本の取組みの遅れを招いているといえます。
国連環境計画(UNEP)の報告書(2018年)によれば、国民1人当たりのプラスチック容器包装の廃棄量の比較では、日本の1人当たりのプラスチック容器包装の廃棄量は米国に次いで2番目に多いと指摘されています。
日本でのペットボトルの2017年の販売量は何と227億本にも上ります。
たとえリサイクル率が9割に向上しても、約22億本は未利用廃プラとして残ります。
例えばそのうちの1割が海洋に流出すると仮定しても、年間2億本を超えるペットボトルが海洋ごみになり、やがてマイクロプラスチックとなって長期間にわたって海を汚染し続けることになります。
これではプラスチック汚染の危機は解決できません。この問題の抜本的解決のためには、何といっても発生抑制、つまり製造量を大幅に削減することが不可欠なのです。
G7シャルルボワサミットで「海洋プラスチック憲章」の署名を見送った後の2018年8月から、ようやく環境省でも「プラスチック資源循環戦略」の策定作業が始まり、同年11月には戦略案が発表されました(図表2)。
同案には、「2030年までにワンウェイプラスチックを累積25%排出抑制」などの達成年限と数値目標が明記されていますが、その実現のための具体策はほとんど書き込まれておらず、実現可能性に疑問が残ります。
そもそも、同案ではプラスチックという素材にどう向き合うプラスチックの功罪