・https://www.asahi.com/dialog/articles/12616524
2019/08/13
SDGs
もっと「香害」を知ってほしい
無添加にこだわるシャボン玉石けん社長インタビュー
Written by 乙部修平 with 朝日新聞DIALOG編集部
Photo by 石黒シエル(POTETO)
「香害こうがい」という言葉を知っていますか?
香りに含まれる化学物質が、めまいや吐き気、思考力の低下などの症状を引き起こすことがあります。
友人や同僚の服についた香りのせいで、学校や職場に行けなくなるといった深刻な問題を訴える人もいます。
そんな「香害」への取り組みを続けるシャボン玉石けん(北九州市)が2018年6月に朝日新聞に掲載した広告が、2018年度朝日広告賞部門賞(薬品・化粧品・トイレタリー部門)を受賞しました。
パーム油の持続可能な調達の実現を目指す学生団体「palmstream」(*1)代表で明治大学4年の樋山輝ひかるさんと、DIALOGの学生記者・乙部修平が、同社の森田隼人社長(43)に、広告の狙いや「無添加」にかける思いなどを聞きました。
朝日広告賞部門賞を受賞した広告
同上
―― 今回の広告で目指したことは何ですか?
「香害」という言葉自体は弊社が考えたものではなく、日本消費者連盟なども発信しています。我々は2016年ごろからこの問題に着目し、ウェブ上で400人以上にアンケートしました。
その結果、人工的な香りによって気分が悪くなった経験がある人が5割を超えていることがわかりました。
昨年3月、私の講演を聞いた人のお子さんから手紙が届きました。
香りによって気分が悪くなる人がいるということは認識していましたが、ここまで切実な思いを抱いている人がいるとは思っていませんでした。
もともと洗濯せっけんの商品広告を新聞に載せる予定でしたが、「健康な体ときれいな水を守る」を理念とする我々がこの問題を社会に広めなくてはいけないと思い、今回の広告を企画しました。
―― 「香害」に対して、これまでどのような取り組みが行われているのでしょうか?
香りの強い外国製柔軟剤が日本で脚光を浴び始めた十数年前から、消費者連盟への相談件数が増えたといわれています。
柔軟剤の使いすぎに対し、注意喚起を行っている学校や自治体が増えてきています。
特に小学校では、よかれと思って、柔軟剤をふんだんに使って共用の給食着を洗濯してしまうケースがあります。
これは「香害」への認知が進んでいないからです。
弊社のせっけんや洗浄剤はすべて、昔ながらの製法によって、余計な化学物質や香料を一切使わずに作る本当の無添加商品です。
最近は無添加かどうかを気にする消費者が増えていますが、洗剤のパッケージに「無添加」と書かれていても、それは着色料の無添加を意味するだけで、他の様々な化学物質を含んだ製品かもしれません。
水に蜂蜜が添加されていても体に害はありませんが、純度100%でも主成分が塩酸なら有害です。
添加物のあるなしも大切ですが、何が入っていて、何が入っていないのか、そもそも主成分は何なのかを知らなくてはいけません。
今回の新聞広告を出したことで、SNS上での反響もたくさんいただきました。
もっとメディア全体がスポンサーを気にせず、この問題を取り上げるようになればいいなあと思っています。