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「香害」は生活の中で逃げ場がない新たな公害。「化学物質過敏症」へ発展すると重症化の可能性も
2019/11/23
衣類や電車の中の匂いが気になったことはありませんか? いま人工的な強い香りが原因となって「化学物質過敏症」を発症する人たちがいます。
長時間香る香水や柔軟剤などが、いわゆる「香害」と呼ばれているのです。
筆者の友人にも香害から「化学物質過敏症」を発症した人がいます。
いまの症状や生活について、話をうかがってみました。
「発症したのは2016年6月頃です。その2か月前に部署移動があって、普段から香水をたくさんつけていた男性が同じ部に配属されました。事務所中で香る香水の匂いを2か月間吸い続けていたら、マスクなしでは生活できなくなりました。頭が痛くなって、マスクがどんどん分厚くなるし…。
『これはおかしい! 化学物質過敏症になったのでは』と思いましたが、病院に行っても相手にされず、理解してもらえなかったのが辛かったですね」
発症してからは、その人以外の柔軟剤の匂いも気になるようになっていき、自分の衣服の匂いさえだめになっていったそう。
薄らいだ匂いもダメになって、洋服やタオルなど、部屋に置いておくのが嫌になり捨てざるをえない状態に。
衣類は、綿にはまだ耐えられるものの、ポリエステル、ナイロンには反応してしまいます。
「シャンプーや歯磨き粉もダメになりました。ある日抗菌作用が高い『抗菌プラス』という商品に症状がでるようになりました。今まで嗅いだことがない、変な嫌な匂いを感じたんです。家から一歩出るといろいろな匂いがするので、外出もできなくなりました」
根本的な治療がないことは、この病気のつらいところです。
原因物質に触れず、運動して栄養を摂ることくらいで、頭痛がすれば頭痛薬を飲み、吐き気や動悸などは、ひたすら治まるのを寝て待つ、と症状に合わせるしかありません。
「7月に予約して、9月になってやっと専門病院を受診することができました。今は3か月待ちが当たり前だそうです。9月下旬に、間違いなく化学物質過敏症という診断がでました。
当時の職場はよく対応してくれたのですが、電車にも乗れなくなり、どこに行っても匂いがするので、仕事は辞めざるをえませんでした。退職後、同じアパートの下の階に住んでいる人のタバコの匂いがすごくて耐えられず、実家に引っ越すことにしました」
たまたま実家は北海道の士別市。選択肢はなかったのですが、普通に暮らせるだろうと思って引越したそう。
「道幅もあるし、住宅地でもそれほど隣接していないのですが、両隣やお向かいも全部匂いがあるものを使っていて、朝晩はつらいです。食事時や洗濯時に具合が悪くなります。町の方角から風が吹くと、町中の匂いが一緒に風にのってきて症状がでることもあります」
それからも、次々とダメなものが増えていきます。
自然のものでも、いちごなどベリー系の乾燥したものがダメ、柑橘類の皮、人参もダメ。
その他、飴、グミ、人工的な甘味料の飲み物などなど。
症状は中程度だそうですが、反応するものには個人差があるようです。
どう対応したら良いのかが書かれている「ヘルプカード」。
具合が悪そうな人がヘルプカードを持っていたら声をかけてください
「病院に行くにも、電車やバスに乗ると症状が出るので、車を使うしかありません。家にいても宅急便など配達の人の匂いで、動悸やせき込み、頭痛がします。10分くらいで治まることもありますが、寝込んでしまうことも。先が見えず、実際に症状がでて、ダメなものが増えていくので不安です」
自分の症状に向き合い、家の中でできることをやるしかないと言います。
「治りたいと思うけど、治るとは何か? と思います。発症する原因をつくった企業、それを使う人の意識も変わる必要があるのでは。人工的な香りをつけて、商品に匂いがないのがおかしいという発想は、逆におかしいのではないかと感じています」
香りを持続させるため、マイクロカプセルに香りを閉じ込めた商品が開発されています。
これほど酷い状況におかれている人が増えていることを認識して、みんなが健康なライフスタイルをおくれるようにする、そのためにはどうしたら良いのかを考えて行動する必要性を強く感じました。