結果は28 名中19 名,約68% にグリホサートもしくは代謝物AMPA が検出された(図3)。
この国会議員たちは,農薬など環境問題に関心が高く,日頃の食事にも気を付けていることから考えると,この検出率はかなり高いと言える。
毛髪検査は,試料の保管や搬送などが便利なため実施しやすいが,グリホサートについて公開された論文やデータがこれまでにない。
毛髪検査は水銀やPCB など蓄積しやすい物質の検査には適しているが,水溶性のグリホサートは検出率や検出濃度が尿検査に比べて低くなる可能性もあるので,尿検査との比較があると更に望ましい。
毛髪には,金属とキレート化したグリホサートや代謝物AMPA が含まれている可能性もある。
同プロジェクトでは,グリホサート曝露の検査を希望する場合,毛髪を一般社団法人・農民連食品分析センター(所長・八田純人)に送るシステムを開始したので,今後日本人のグリホサート曝露状況の実態がわかってくるだろう。
農民連食品分析センターでは,これまで食品中のグリホサートなどの農薬を分析して,情報を公開している56。
小麦については,国産小麦では検出されないが,輸入小麦では高い頻度で検出されており,子どもでは給食などのパンによる曝露が懸念される(表1)。
市販のパンやビールからもグリホサートが検出されており,日本人でも日常的な曝露が懸念される。