8:「ラウンドアップ」のヒトへの発がん性と多様な毒性〈下〉 | 化学物質過敏症 runのブログ

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グリホサートは前号(〈上〉,図1)で示したように,国内で大量使用されており,農地以外でも学校,家庭菜園,線路,駐車場,グラウンドなどで,日常的に撒かれている。
スーパーやネットショップでも手軽にグリホサート製剤は入手できるが,発がん性などの危険性は明記されていない。
日本におけるがん患者の急増の一因として,グリホサート/グリホサート製剤の曝露が関わっている可能性があり,早急に注意勧告するとともに,規制強化が必要ではないか。
最近,朝日新聞社のウェブサイト『論座』で,過去の特定の論文のみ対象にして,グリホサートや「ラウンドアップ」などグリホサート製剤に発がん性はないとする主張が公開された。

一方,本稿と前号〈上〉で紹介したように,グリホサート/グリホサート製剤では,ここ数年,多様な新しい毒性が判明してきた。

ことにグリホサートは,脳や多様な臓器で重要なNMDA 型受容体を介して活性酸素を発生させたり,発がんや子孫への健康障害に関わるDNA のメチル化変異(エピジェネティック変異)を起こすなど,新しい科学的知見が報告されている。

さらに除草剤を含む農薬の安全基準となる一日摂取許容量は,農薬原体を対象としているが,実際に曝露する農薬製剤は桁違いに毒性の高いケースがあるため,安全性が確保されないことも新たにわかってきた(前号〈上〉)。

科学は常に進歩しているので,新しい科学的知見をもとに,グリホサート,「ラウンドアップ」などグリホサート製剤の発がん性や危険性について,論議すべきという論文50が出ており,筆者も同意見だ。
なお前号〈上〉で記載したように,「ラウンドアップ」などグリホサート製剤曝露によってがんを発症したとする訴訟が,米国では1 万件以上起こっており,患者側が3 件で勝訴している。

裁判では,モンサントが発がん性の事実を隠蔽した疑惑や,「ラウンドアップ」の有害性を示した論文の取り消しを工作した疑いなどが取り沙汰されている。

訴訟ではモンサントの関与疑惑は重要かもしれないが,本稿ではグリホサートの毒性に関わる科学研究の紹介を優先するため,詳細は文献51を参照されたい。