4:薬剤性アナフィラキシーの診断と治療 | 化学物質過敏症 runのブログ

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・添加物が原因の蕁麻疹型薬疹
薬剤の主剤ではなく添加物が蕁麻疹・アナフィラキシーの原因となることもある.

カルボキシメチルセロースはステロイド注射薬(ケナコルト® など)や胃透視の際に用いられるバリウム造影剤に含まれており,アナフィラキシーの原因となることが知られている14).

上述のポリオキシエチレン硬化ヒマシ油はビタミンK2 注射薬によるアナフィラキシーの原因であることが判明し,その後この添加物を含有しないビタミンK2 注射薬が発売されているが,なおポリオキシエチレン硬化ヒマシ油を含むビタミンK2 製品や他の薬剤が存在する15).

ただし,ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油のアナフィラキシーの場合,皮膚テストが陽性であるとの報告があることから,上述のCARPA による反応とアレルギー反応の双方があると思われる.
歯科治療における蕁麻疹・アナフィラキシー歯科治療時にアナフィラキシーが発生することはしばしばみられる.

歯科用剤によるアナフィラキシーの原因にはラテックス,局所麻酔薬,(パラ)ホルムアルデヒド,ポビドンヨード,歯科用ボンドなどがある.
局所麻酔薬にはプロカイン,ベンゾカイン(アミノ安息香酸エチル)などのエステル型とリドカイン,ジブカインなどのアミド型がある(表2).

それぞれエステル型同士,アミド型同士では交差反応を起こしやすいとされるが16),エステル型とアミド型の両方で皮膚テストが陽性となる症例の報告もある.
歯科治療でホルムアルデヒドまたはパラホルムアルデヒドを用いた処置を行った数時間後に蕁麻疹やアナフィラキシー症状が出現することがある17).

速やかに歯科治療時に充填されたホルムアルデヒドやパラホルムアルデヒドを除去する必要がある.遅発性に発症するがI 型アレルギーであり,ホルムアルデヒドの特異IgE が証明される.

パラホルムアルデヒドはホルムアルデヒドを徐放するが,さらにホルムアルデヒドは歯根尖孔や象牙細管を通って歯の外へと徐々に漏出するため症状発現までに発症閾値濃度に到達するまでに時間がかかるのであろうと考えられている.

ポビドンヨードは稀にアナフィラキシーの原因となるが,その原因は可塑剤であるpolyvinylpyrrolidone(PVP)であることが知られている.

特に吸収の良い粘膜の消毒によって症状が誘発されやすい.この物質はポビドンヨードだけでなく,様々な薬剤や整髪料・化粧品などに含まれている18).
表2 局所麻酔薬


表3 食物アレルギーと関連しておこる薬剤性アナフィラキシー・蕁麻疹

食物アレルギーに伴う蕁麻疹型薬疹

食物アレルギーの原因となる成分を含む薬剤によって蕁麻疹型薬疹が誘発されることがある(表3).

塩化リゾチームは卵の成分から作成されるので卵アレルギーのある場合蕁麻疹が生じる.

牛乳アレルギーでは生菌製剤であるラックビー®,エンテロノン®,ビオスリー® は蕁麻疹の原因となることがある.

また牛乳の成分であるカゼインアレルギーがある場合は止瀉剤のタンニン酸アルブミン® やメイアクト錠®,メデマイシン®,アミノレバンEN® などのカゼインを含む薬剤によって蕁麻疹が誘発される.
特殊なタイプの血管浮腫
遺伝性血管性浮腫ではC1 inhibitor esterase 活性の低下により血管浮腫をきたすが,ACE 阻害薬はその症状の発症のひきがねとなることが知られている19).C1inhibitor esterase の異常のない個体においてもACE阻害薬によって血管性浮腫が発症することがあり,咽頭や喉頭浮腫をきたし生命の危険を脅かすことがあるので注意が必要である.