9:新シックハウス症候群に関する相談と対策マニュアル | 化学物質過敏症 runのブログ

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6.シックハウス症候群,シックビルディング関連病
と化学物質過敏症の関係
(1)シックハウス症候群とシックビルディング関連病の特徴
図 4 シックビルディング症候群・シックハウス症候群と関連疾病(概念図)。

(相談マニュアル(改訂新版)p 19)


以上,我が国の疫学研究や世界各国の疫学研究から,シックハウス症候群の特徴は,2 つに大別できる。
(1)

①非特異的な感覚器症状(眼,鼻,喉の刺激症状,頭痛、倦怠感,皮膚刺激症状,軽度の神経毒性症状)で,②建物内のある程度以上の人が訴え,③建物を離れると良くなる,④多種の要因が重なって原因になることもある。

一方,(2)シックビルディング関連病は,原因が明らかで医学的に病名がつくもの(アレルギー,皮膚炎,過敏性肺炎,有機溶剤中毒症など)。この中にはレジオネラ細菌症なども含まれ,シックハウス症候群より症状が重く回復までやや時間がかかることもあるが,原因を除去できれば回復や予防が可能である。

Patty’s IndustrialHygiene and Toxicology (5th Edition. 2001)(20) によれば,シックビルディング(シックハウス)症候群とシックビルディング(シックハウス)関連病,この 2 つを合わせたものはいずれも室内空気質が原因で起こる。
シックハウス症候群の原因を調べる際に,シックビルディング(シックハウス)症候群,シックビルディング関連病,化学物質過敏症の 3 つの関係は図 4 のように示される。

このうちシックビルディング(シックハウス)症候群とシックビルディング関連病は,種々の環境要因で症状がでるが原因の除去により数週から数か月の単位で寛解あるいは治癒にいたる。

非特異的な自覚症状が主体で軽いものを一般にシックビルディング(シックハウス)症候群と称するが,同じ化学物質(たとえば有機溶剤)の濃度が高ければそれぞれの化学物質に特有の中毒症状を起こし,これは職場で起これば産業中毒としていわば労働災害に該当する。
(2)化学物質過敏症の特徴
一方,このシックビルディング関連病やシックビルディング(シックハウス)症候群に比べて,環境を変えてもなかなか治らないのが,化学物質過敏症(MultipleChemical Sensitivity: MCS)の特徴である。

通常の人であれば全く症状を出さない非常に低濃度の種々の化学物質曝露(たとえば売り場にある化粧品や他の子どもが自宅で使った洗濯洗剤,香水など)に反応し多彩な症状を訴え,学校に行けなくなる子どもや住宅を住み替えでもなかなか症状がなくならない病態がいわゆる「化学物質過敏症」である。

Miller によれば (21)「化学物質高濃度曝露イベントがあり(第 1 段階),その後,化学物質に耐性がなくなり毎日の低いレベルの曝露でも MCS を引き起こし(第 2 段階),過敏性を獲得した人では普通の人では症状が出ないような極めて低い濃度でも多様な症状が出現し,かつ原因物質以外の種々の環境要因で症状が発現する」とされる。

しかしなぜ過敏性を獲得し,原因物質以外にも反応するのか?病気の原因とメカニズムが明らかでない。

WHO/IPCS では「本態性環境不耐症(Idiopathic Environmental Intolerance: IEI)」とよんでいる。
いわゆる化学物質過敏症はシックビルディング(シックハウス)症候群が原因かどうかわからないケースがほとんどである。

実際に多くの環境化学物質濃度を調べても低い濃度であることが多く,また原因とされた化学物質の曝露がなくなっても症状が持続し,また原因以外の多種の化学物質で症状が誘発されるとされる。

臭いに過敏なことが多いが,盲検法で低濃度曝露への反応を調べた調査研究ではドイツおよび日本の 3 か所の施設での研究でいずれも化学物質曝露とは関連はなかったと報告された (22–25) 等の鑑別が必要なこともある。

最近,東らは化学物質過敏症の患者の臭いに対する反応が過敏であることと脳イメージング評価法で観察した臭いに対する処理領域との関係を報告し,病因に脳神経の関与を示唆している (26) 一方,化学物質過敏症の発症過程における精神心理要因の関与について面接調査を行い,発症前の心理負荷の関わりを示唆している報告もある(27)。

病因や成り立ちを踏まえたアプローチが重要と思われる。
本マニュアルでは現在に至る化学物質過敏症の発症や治療に係る論点も詳述した。

化学物質過敏症の病因は明らかにはなっていないが,自覚症状改善に向けた対処療法として,グルタチオンなどのいわゆる解毒剤やビタミン剤の投与が有害化学物質の代謝や排泄を促進するために実施されていることがある。

しかし科学的にその有効性が証明されておらず,化学物質によって引き起こされることを前提とした解毒療法は既に米国内科学会や米国医学会では否定されている。

すなわち,食事や化学物質の制限はする必要はなく,「転居による(現在の環境からの)退避」はむしろ社会とのかかわりを絶ち,患者を孤立させる恐れがあるので転居を推奨すべきでないと注意をしている。

個々の患者には症状の緩和につながる支援が重要であるが,シックハウス症候群と化学物質過敏症は症状や経過,病因の違いに基づいてリスク要因の除去,障害の予防や対策を考えていくことが課題である。

なお本マニュアルには最近増えている電磁場過敏症もとりあげた。

 

runより:シックハウス症候群の研究してる人達は化学物質過敏症を否定したいシックハウス症候群推進派が多いのでこの報告書にもそういう兆候が出ています。

つまり気にする事はないという事です、あくまでもシックハウス症候群の研究で化学物質過敏症には無理解と思ってください。