6:新シックハウス症候群に関する相談と対策マニュアル | 化学物質過敏症 runのブログ

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 3 ホルムアルデヒド濃度が一番低いグループに対するシックハウス症候群を訴えるリスク。左:2004 年に実施した,全国 6 地域の戸建て住宅 425 軒のデータ。

ホルムアルデヒド濃度を四分位にしたとき,第 1 四分位(最も濃度が低いグループ)をリファレンスにしたときの各群のオッズ比。

地域,性,年齢,喫煙,家で過ごす時間,飲酒,ストレス,結露,カビ発生,ペット,アレルギー既往,および温湿度で調整。

右:2004 年,2005 年に実施した,全国 6 地域の戸建て住宅 260 軒のデータ。

連続する 2 年のホルムアルデヒド濃度差を五分位にしたとき,第 1 五分位(2 年目の濃度が最も下がったグループ)をリファレンスにしたときの各群のオッズ比。

地域,性,年齢,喫煙,およびアレルギー既往で調整。(相談マニュアル(改訂新版)p 40)
アルデヒド類,VOC 類の室内濃度とシックハウス症候群との関連においては,症状がある人が居住する住宅では,症状がない人が居住する住宅よりもほとんどのアルデヒド類濃度が高いものの,VOC 類についてはそれほどはっきりとした差はみられなかった。

また,ホルムアルデヒド濃度を四分位にしたときに,濃度が高いとシックハウス症候群のリスクが上がるという量-反応関係が見られた(図 3 左)(6)。

さらに,連続する 2 年間のホルムアルデヒド濃度差とシックハウス症候群の症状の変化の関連を検討したところ,ホルムアルデヒド濃度の 2 年間の差を五分位にしたときに,濃度が上昇すると新たなシックハウス症候群の症状が発症するリスクが上がることが量-反応関係で見られた(図 3 右)(7)。

また,ホルムアルデヒドを含む VOC にさらされることは,シックハウス症候群のみならず,児童の喘鳴や喘息症状を増やすリスク要因であると報告されている。

ホルムアルデヒドは厚生労働省による室内濃度指針値が設けられており,多くの住宅では指針値濃度を下回っているものの,濃度が高くなると症状を訴えるリスクがあがる関係が見られたことから,特に新築の家屋では完成後引き渡しまでの期間を十分とる,室内濃度を下げるために窓をあける,24 時間換気装置を使うなどして部屋の換気を十分に行うことが,シックハウス症候群の予防対策には重要であると言える。

さらに,ホルムアルデヒドについてはJIS や JAS で表示記号が定められている。室内に持ち込む家具・製品についても,どんな塗料・接着剤が使用されているかわからないものより,品質が明確なものを購入することが推奨される。
2004 年に詳細な室内空気中のアルデヒド類(15 種類)・VOC 類(46 種類)および気中真菌の培養同定,塵中ダニアレルゲンの測定を行った。

ホルムアルデヒド,パラジクロロベンゼン,アセトアルデヒド,VOC 暫定指針値 を 越 え た 住 宅 の 比 率 は, そ れ ぞ れ 3.5%,5.6%,12.2%,8.0% であった。

地域別に見ると,北海道では化学物質濃度が全国よりも高く測定されたが,ダニアレルゲン量は全地域中最も少なかった。

福島では総 VOC 量,およびダニアレルゲン量は全地域中で最も多く測定された。名古屋は総アルデヒド量と総真菌量が全国で,最も少なかった。

大阪は,総アルデヒド量,総 VOC 量,総真菌量,ダニアレルゲン量のすべてが全国を下回る結果となった。

岡山は総真菌量とダニアレルゲン量が福島に次いで高かった。

北九州は温度,湿度とも全地域で最も高かった。

また,アセトン濃度が最も高かった。

北海道では多くの化学物質濃度が最も高かった。

寒冷地であるため他地域と比較して高気密であり,調査時の平均外気温は 12°C で,窓を閉めている時間が長かったためと考えられる (13, 15)。