ファブリーズ「瞬間お洗濯」広告が消えた裏事情 | 化学物質過敏症 runのブログ

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ファブリーズ「瞬間お洗濯」広告が消えた裏事情
「適格消費者団体」の活動が与えた影響とは
細川 幸一 : 日本女子大学教授 
2019/07/12 11:00
「瞬間お洗たく」というシールが貼られ、以前販売されていたファブリーズ。

発売当時の2017年9月のニュースリリースにも注意書きで「*消臭する工程を洗濯と比較。

汚れを落とす訳ではありません。」と書かれている(画像:P&Gのニュースリリースより)


 P&G(プロクター・アンド・ギャンブル・ジャパン)が2017年秋に全面リニューアルして新発売した「ファブリーズ」の布用消臭・除菌スプレーシリーズ。

「瞬間お洗たく」や「新!ファブリーズで洗おう」というキャッチコピーによるたくさんの広告は多くの消費者に注目された。

洗いにくい布製品などにファブリーズを吹きかけただけで洗濯効果があれば、こんなに便利なものはない。

消費者の目を引くはずである。

一方、販売当時からSNSなどで疑問の声も上がっていた。

スプレーで液剤を吹きかけただけで汚れが落ちるわけはないと思われるからだ。

ファブリーズの「瞬間お洗たく」を見なくなった背景
実は、これを問題視した関西の消費者団体が、2017年12月からこの広告が景品表示法上の不当表示にあたる可能性があるとして、P&Gに問い合わせをし、約1年半にわたりやりとりをしていたのだ。

2019年4月23日に広告変更についての両者の合意がなされたために、テレビコマーシャルなどで広告を見かけなくなっていた。

その経緯を見てみよう。

P&Gに問い合わせをし、その後やりとりしていたのは、消費者支援機構関西(大阪市中央区)だ。

消費者団体というと、会員数の低迷により消費者運動も停滞しており、さしたる影響力はないのではないかと思われがちだ。

しかし実は企業にとって消費者庁などのお役所以上に怖い存在かもしれない。

消費者支援機構関西は消費者団体訴訟制度上の特定適格消費者団体の認定を受けている。その法的権限ゆえに、企業としては無視できない存在なのだ。

どんな権限が民間団体である消費者団体にあるのかと思う消費者も多いだろう。

消費者団体訴訟制度が2007年に創設され、消費者団体に不当な契約条項や不当行為等に対する民事裁判での差止請求訴訟を起こす権限が与えられたのだ。
内閣総理大臣から認定を受けた適格消費者団体が、差止請求訴訟を提起する権利を背景に、事業者に不当な勧誘行為や不当条項の使用、不当表示をやめさせるための「差止請求」の申入れを行うことが期待されている。

「消費者契約法」や訪問販売など消費者トラブルを生じやすい特定の取引を対象とした「特定商取引法」、不当表示・景品を規制している「景品表示法」、「食品表示法」の虚偽表示も差し止めの対象となった。

さらに、消費者の財産的被害を集団的に回復するための裁判手続(被害回復のための損害賠償請求訴訟)を追行することができる制度もできた。

いずれの場合も、消費者団体に訴訟を提起する権利が認められているが、前者の差止請求を行うことができる消費者団体を適格消費者団体、そのうち、さらに後者の損害賠償請求を行うことができる消費者団体を特定適格消費者団体という。

適格消費者団体は現在21団体、そのうち3団体が特定適格消費者団体だ。消費者支援機構関西は後者の3団体の1つだ。

すなわち、違法行為の差し止めと、消費者の被害回復のための損害賠償請求訴訟ができる権限を持つ。

同機構はとくに積極的な活動で知られる。