2:生態系と人体にとっての微生物の働き | 化学物質過敏症 runのブログ

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プロバイオティクス医学の発展
プロバイオティクスとは、腸内フローラを改善して、その健康の維持に貢献する微生物群のことである。

腸内フローラは、健常な状態であれば、菌の構成もバランスがとれ生体に良い影響を与える菌が生息している。

しかし、さまざまな要因によりバランスが崩れると生体に悪い影響を与える菌が優勢となり、健康の維持に好ましくない。

プロバイオティクスはさまざまな要因で変化しがちな腸内フローラを健常な状態に保つために投与される。
 図2は、人の糞便1g 当たりの細菌数の経年変化を見たものだが、年齢とともに腸内フローラが変化していることがわかる。

人の糞は、未消化物質(主に繊維質)、剥離小腸細胞、腸内細菌が約3分の1ずつを占めている。

小腸の細胞は約3日で剥離され新しい細胞に代わることが知られている。


 図2のビフィズス菌、乳酸桿かん菌きんは代表的な善玉菌である。服部正平教授(東京大学大学院新領域創成科学研究科)の研究によれば、ビフィズス菌の中には酢酸を出すものがあり、この酢酸によって腸壁の細胞を傷つける悪玉大腸菌を殺して大腸細胞を保護していることがわかっている。

日本の食文化であるお寿司は、このような酢(酢酸)による病原菌からの防護作用を利用したものである。
下水汚泥の「資源」としての活用では、次に、人の排泄物の処理について考えてみよう。

人の排泄物は下水処理場で処理されているが、その処理システムの中心は微生物による分解作用である。

図3のように、下水は、活性汚泥中の微生物群による分解と沈澱を繰り返した後、その上澄み水を消毒して処理場から河川に放流するシステムである。

沈殿物の汚泥は、脱水して焼却され、焼却灰がセメント材料としてリサイクルされているが、下水汚泥中には大量の微生物群が含まれており、焼却して灰にするだけではもったいない。

下水汚泥を「廃棄物」ではなく、「資源」として見る見方が必要である。


 資源として見れば、下水汚泥をメタン発酵させてエネルギー(メタンガス)を回収し、残渣物を堆肥化するのが最も効率的な利用法だ。

しかし、汚泥の堆肥化は簡単ではなく、技術開発が必要だった。

また、仮に技術開発ができても、はたしてそれを農家が買ってくれるかという問題があった。
ところが、最近、堆肥化の技術開発が進展し、汚泥の埋肥化を実践する下水処理場も現れた。佐賀市の下水処理場で、国土交通大臣賞を受賞している。

ここでも活躍しているのは枯こ草そう菌・放線菌群の微生物だ。
これらの善玉菌は発酵によって100℃以上まで温度を上昇させることができる。

グラム陰性菌の悪玉菌は熱に弱いので、100℃以上の高温環境に耐えられず死滅するが、これらの善玉菌は100℃以上の高温状態でも生き残り、下水汚泥を分解し、良質の有機肥料(堆肥)を作ることができるのである。
 

堆肥にすることがなぜ良いのか
 堆肥としての利用には4つの利点がある。
その1は、チッ素、リン、カリを含む肥料としての価値である。

リンは、リン鉱石から作られているが、日本にはリン鉱石はなく、100%輸入に頼っているのが現状だ。

しかも、リン鉱石も今世紀末には枯渇するといわれており、下水汚泥からリンを調達できるというのは画期的なことだ。