・出典:ケミカルデイズ
http://www16.plala.or.jp/chemicaldays/index.html
Q&A
・Q6 合成樹脂(プラスチック)とはなんですか?
A :
人間は古くから、松ヤニなどの木の樹脂を利用してきましたが、20世紀になって、石油製品から同じような物質が作られて、人工の樹脂、つまり合成樹脂と名づけられました。
石油製品のうち、合成繊維を除いた、形になるもの=成型品を作るもののことをいい、プラスチックとも呼ばれます。
塗料や接着剤などの膜になるものも同じ成分から作られます。
化学的には、モノマー(単量体)という物質が、たくさんつながった形=ポリマー(重合体)となったもので、この状態を高分子ともいいます。
軽い、安い、劣化しない、どんな形のものも作れるという性質から、さまざまな道具や容器、家具などの材料が、それまでの木、ガラス、陶器、金属などから、プラスチックに替わりました。
その転換が起こったのは、石油がエネルギーの主力となった1960年代とほぼ重なります。
プラスチックは、一方で、熱に弱い、破損しやすい、安っぽい、使い捨てを助長し、ゴミの増大と処理を難しくするという欠点も指摘されています。
一口にプラスチックといっても、次のようなさまざまなものがあり、それぞれ化学式や性質が異なります。
◇プラスチックの種類
ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレト(PET)、ポリスチレン、ABS樹脂、ポリカーボネート、フェノール樹脂、メラミン樹脂、ユリア樹脂、ポリウレタン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデンなど
便利に使われているプラスチックですが、その性質をよく見ると、常識的な理解とはかなり異なることが分かります。
安定しているといいましたが、それは一面にすぎなくて、ひじょうに不安定な物質ということもできます。
ポリマーだけでは、長持ちしません。そのために、安定して形を維持するために、多種類の添加剤の助けが必要です。
プラスチックのもととなるモノマーの多くは有害性があります。
ポリマーになっても、モノマーの一部が残っています。
このモノマーや添加剤は少しずつ製品の外に溶け出していきます。
食べ物に容器のプラスチックの味が移ったりするのはそのためです。
さらに熱や力が加わることでいろいろな物質が揮発します。
添加物の助けを借りてもプラスチックはやがて劣化します。
ボロボロになるものもありますが、そのときでも、もとになるポリマーは安定していて崩れません。
劣化はするけれど、完全に分解することはありません。
細菌に犯されて劣化する場合もあるし、表面が電気を帯びるので汚れがこびりつきやすいという欠点もあります。
◇添加剤の種類
可塑剤、安定剤、帯電防止剤、難燃剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、滑剤など
プラスチックはポリマーと添加剤の複合物です。ですから、プラスチックの有害性というとき、添加剤もふくめて見なければなりません。
添加剤としては、フタル酸エステルや、難燃剤の有害性が問題になっています。
塩化ビニルのように、種類によっては製品の半分以上が添加剤という製品もあります。
環境中で完全に分解するという生分解性プラスチックというものが開発されましたが、価格も高く生産量はごくわずかです。
私たちとしては、別の材質のものを選んで、プラスチックをできる限り使わない、とくに使い捨て用途では使わない、有害性の高い塩化ビニルなどを避け、使うのであれば、構造が比較的単純なポリエチレン、ポリプロピレンのものを選ぶ、といったことに心がけましょう。