2:第20回シックハウス(室内空気汚染)問題に関する検討会 議事録 | 化学物質過敏症 runのブログ

化学物質過敏症 runのブログ

化学物質過敏症 電磁波過敏症 シックスクール問題を中心としたブログです


○広瀬委員 それでは、スキームによりますところの初期暴露評価、それに引き続いて行った初期リスク評価の結果のサマリーについて、資料1-1及び資料1-2について、その内容について御説明させていただきたいと思います。

   最初に、初期暴露評価ということで、検討の対象にする暴露物質を選定するといった観点で物質の選定を、毒性評価を始める前に行いました。

それは、これまでの過去の実態調査とこの検討会で酒井委員や神野委員から示していただいた物質の中で、高濃度・高頻度で検出された化合物を選定しました。

   その選定に当たっては、資料1-1を見ていただくとわかりますけれども、「室内環境中の主な発生源」ということで、発生してしかるべき発生源があることがわかるといった物質ということで、物質を選定したということになります。

   初期暴露評価・初期リスク評価の区別は難しいのですけれども、たとえデータが出たとしても、毒性データがないということなると先に進めないということもありますので、その中で、かつ、少なくとも反復投与等の詳細な毒性の出たデータ、単回投与だけではなくといった観点で毒性の指針値が決められそうなデータがありそうな物質ということで選定した結果がこの11物質ということで整理できたところです。

   主な発生源は、そこの表に出ていますけれども、多くは塗料の壁紙あるいは可塑剤のプラスチック、家庭内のそういう主に内装等で使われるような材質から出てくるような物質、この辺につきましては、神野委員や酒井委員などから情報をいただいて、まとめていただいたところです。

   リスク評価をするに当たっては、実態調査と有害性との比較が大事になりますので、プライオリティー、優先順位をつけるという観点からも、まずは最も高い値、左から3つ目のカラムですけれども、これまで最高で検出された濃度を指標として、その値にどのくらい毒性データが近いか、遠いかといったことが多分、優先順位の判定になるのではないかという観点で、この表は整理しています。

   左から3つ目のカラムは、それぞれの11物質についての検出最高濃度、その最高の濃度の出方も、新築あるいは主に夏、あるいは冬季の暖房器具等の影響で出てくるなどといったことも検討できるように、検出時期のデータも整理してここに載せているところです。

   次に、今、この11物質についてある程度の毒性の指標をする指針値、一口に指針値をつくるといっても結構大変な作業ですので、ここではまず初期的なリスク評価というものを行いました。

初期的なリスク評価をどういうことで行ったのかの詳しい説明はここに出ていませんけれども、それぞれの11物質について網羅的に文献検索、あるいは国際的な評価書等から、急性毒性あるいは刺激性、感作性、慢性毒性、生殖毒性、発がん性、発生毒性といった観点でデータをそれぞれについて網羅的に収集しまして、その中で、指針値を策定する場合は、最も毒性の感度が高い指標を使うといった観点で、ここは、最終的には毒性の中身をもっと精査するわけですけれども、少し機械的に最も低いNOAELあるいはLOAEL、低いところで毒性が出た試験を抽出して、そこを並べたものが一番右側の「NOAEL(LOAEL)の根拠」となっている情報になります。

ですから、それぞれの物質について、最も低い数値、毒性的な指標値が出たものを抜き出しています。

それぞれの文献については机上配付で、委員以外のところはリストだけという資料となっていますが、多くは公表されている文献ですので、そこに当たっていけばもとの情報にたどりつけるものですけれども、その文献の中の毒性指標値を抜き出したということで、ここで示されているところになっています。

   その選択の仕方は、室内空気指針値ということですので、基本原則としては、慢性で吸入試験を行ったデータを優先として採用しています。

ただ、慢性の吸入試験は、たくさんの物質で試験されていることはないので、この中で1つ、2つ、今回の場合は慢性を2年間やっているのは、メチルイソブチルケトンですね。

それが慢性試験を行ったデータなので、これで選ぶということを行いました。

ただ、慢性試験があっても、亜急性試験で例えば低いデータがあった場合には、この場合は低いデータを使うことを少し優先していますので、慢性があっても亜急性が選ばれていることもあります。
 次に、なるべく吸入試験で得られた毒性指標ということで、長い試験から優先的に、低い指標値となるものから優先的にとりまして、そういうデータがない物質も幾つかあります。

その物質については、次善の策ということで、これまでのシックハウスの指標値でも使われているのですけれども、経口暴露での最も低い毒性指標を吸入暴露相当に換算して、その値を用いるということを行いました。

   例えば上から2つ目のテキサノールについては、余りたくさんのデータがなかったのですが、唯一反復投与で使えそうだったのは、15日間の強制経口投与のNOAEL:100mg/kg、この値しかなかったわけで、これは公表された文献として最も低い指標で、経口投与試験なのでそれを吸入暴露の換算値に変更する。このように毒性指標として11物質についてまず選定しました。

   最終的には気中検出濃度、どのくらいその毒性指標に差があるのかということを調べた比較の欄が真ん中の「初期リスク評価の結果」と言われるところで、3つの列が示されています。

左側がNOAELまたはLOAELの体内負荷量、動物の吸入試験ですので、一旦動物の吸入量に変換した後、ヒトでの呼吸量に割り戻すやり方をこの場合は行っています。

ですから、一旦は吸入あるいは経口でNOAEL等の毒性指標を出していますけれども、それが全部体に入ったと仮定したときの換算値としてNOAELを出しています。

ですから、ここでは気中濃度ではなくて体内負荷量という単位で、体重当たり1日当たり何ミリグラムの摂取が毒性指標値の値に相当するであろうと考えられます。
  NOAELまたはLOAELは無毒性量で、無毒性量が実験にとって求められないときは、LOAELをここでは数値として出しています。

その値をヒトでの24時間の呼吸をしたときの平均濃度になるという換算を行ったのが、その右側の列でして、NOAEL、LOAELに相当するヒトでの暴露濃度μg/m3 を計算しました。

これが動物試験でいうところの動物による体内負荷量をヒトで換算したときの、そして、さらにその吸収量をヒトの呼吸量にまた戻した値は、この暴露濃度になります。

それが例えば一番上の2-ヘチル-1-ヘキサノールであれば282μg/m3 、これは24時間平均値という値で補正し直していますけれども、こういう値になる。

それで、それぞれの11物質について計算したものがその列になります。

   それで、最終的にはこの濃度が家庭内で検出されている最高濃度よりもさらに高ければ、動物で出るような毒性の濃度ではないということがわかる。それを比として求めたのが、最高濃度とのMOE、MOEというのはMargin of Exposureで、動物での毒性指標と、ここでは最高検出量を対象としますが、つまりヒトの最高検出濃度、これは24時間中の一過性の値なのですが、24時間平均暴露値とこのピーク値との比ということで、必ずしも同次元の比較は行われていないのでリスク評価としてはかなり過大評価ではあります。