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【岐阜】飛騨の左官の技術 作品でPR
ジャンル・エリア : 岐阜 2012年11月15日
左官の技術を生かした紋章などの作品が並ぶ会場=飛騨市古川町で
飛騨地域の左官業組合員らが、伝統的な技術を生かして仕上げた紋章や腰壁などの作品を紹介する展示会が、飛騨市古川町三之町のさくら物産館内ギャラリーで、今月末まで開かれている。
手間やコストが掛かり、新しい建築様式に押されて左官による土壁の家が少なくなる中、作品を通じて伝統の技術をPRしている。
作品を手掛けたのは、飛騨、高山、下呂市の左官業組合員ら。
4日に組合員らが技能講習会を開き、伝統技術を確かめるとともに新しい試みに挑戦したところ、立派な作品がそろった。
当初は壊すつもりでいた作品の展示を決めた。
飛騨市左官業組合長の野中康雄さん(58)=古川町向町=は「飛騨の職人は技術を持っているが、それを出せる場所がない」と話す。
市中心部は瀬戸川沿いに白壁土蔵の家々が並ぶが、土壁工法による住宅新築はほとんどなくなりつつある。
展示作品のうち、玄関口を飾る腰壁には、装飾を施すなど新しい試みを取り入れた。
御影石などの砂粒に白セメントを混ぜ、噴霧器でセメント部分を洗い落とし、石の質感を出す「洗い出し」の技法を用い、コイ、さるぼぼなどのキャラクターを施した。紋章にも洗い出しの技法を使い、アオイ、ツルなどの絵柄を浮かび上がらせている。
泥団子はビー玉のようなつややかさがある。
ガラス瓶に土、水、ワラ、水の混合物を塗り固め、形を丸く整えた後、赤や青のしっくいを塗って表面をきれいに磨き上げた。
野中さんによると、土壁は天然素材のためシックハウス症候群などに悩む人たちから注文が入るが、コストが掛かり、市場は縮小しているという。
組合員も高齢化が進み、若い担い手は少なくなっている。
野中さんは「作品を通じて、飛騨にもこんな職人がいることを知ってほしい」と話している。