診断
ジイソシアネートに起因する職業性喘息を正しく診断することが重要である。「ジイソシアネート喘息」診断の基礎は、喘息診断を確認し、ジイソシアネート曝露による反応なのか、他の刺激物による反応なのかを確かめることである。
初段階の診断にあたっては以下の点に注意を払う。
1) 喘息と一致する病歴は
2) 週末あるいは休暇中に症状緩和はあるか、また仕事に戻った時の再発は
3) 勤務時間終了時に症状悪化の傾向は
注意深く制御されたジイソシアネートの誘発吸入試験は有効かもしれないが、通常、簡単ではない。そのような気管支刺激試験には精巧な曝露設備および熟練技能者を必要とする。
作業所での曝露で肺機能減少を示す業務上の気管支収縮作用を実証することは、推定診断を確認または矛盾させるのに十分である。
血清中のジイソシアナートに特異な IgE および IgG 試験を含む免疫試験は標準化されていない。
その結果として診断用の適切な感度と特異性を示さなかった。 (Budnik,2012).
肺胞炎または過敏性肺臓炎
稀に肺胞炎または過敏性肺炎はジイソシアナート曝露に起因する。
気管支喘息とは対照的
に、細胞炎は過度の曝露があった場合の報告と分けて報告されている。
症状は曝露後6〜8
時間で現われ、不快、関節痛、熱、咳および息切れを伴う可能性がある。
胸部 X 線は、肺に“影”を映す。
疾患は、通常曝露を避けることでおさまる症状の診断は次の基準を必要とする。
:熱を持つ症状(インフルエンザ様症候群)、息切れ、(X線写真術(肺浸潤細胞)、生理学(肺機能中の拘束性パターン)、免疫性(特定のIgG抗体の存在). (Baur, 1995)。
他の研究者はすべてのケースで IgG 抗体を見つけておらず、疾患の感受性指標とし刺激性の少ないジイソシアネートの濃度での臨床症候群とした。 (Vandenplas、1993)。
兆候と症状は通常曝露を避けることで、数日で消える。
ただし、曝露が続くと、慢性的な肺線維症、ガス交換障害、呼吸困難そして体力減少が進む。
SKIN EFFECTS
皮膚への影響
皮膚刺激性
液体ジイソシアネートとの繰り返し接触は皮膚を変色させ、赤み、炎症、腫れまたは水疱を引き起こす。
ジイソシアネートを誤って皮膚に接触さした場合、は、すぐに石鹸水で洗浄する。
硬化物は除くことは困難だが、最善な方法は、コーン油、ワセリンまたは工業用肌洗浄剤(e.g., D-TAMTM Safe Solvent: Colorimetric Laboratories, Inc.)で除去するという実際の経験が示している。
アレルギー性接触皮膚炎
ジイソシアネートの皮膚曝露はアレルギー性接触皮膚炎(ACD)にもなる可能性がある。
ACD は MDI と TDI で起こることはめったにない。
ACD は二つのプロセスがあり、最初のフェーズは、アレルゲンとの接触で固体の特殊な免疫記憶の誘発、2 番目のフェーズは誘出つまりアレルゲンへの個々 の感作の再暴露によるアレルギー反応細胞媒介の生産。
以前に感作された人は、かゆみ、腫れ、発疹を伴うアレルギー性皮膚炎になる。
動物実験は、繰り返される皮膚曝露は呼吸器感作の進行の役割を果たしていることを示している。
TDI、MDI 両方とも、動物の皮膚への接触や注入は呼吸器の過敏性反応を引き起こす。
これらの調査結果は、ジイソシアネートと皮膚の接触を避けることを推奨している。
CARCINOGENICITY
発がん性
危険有害性周知基準 OSHA 標準29 CFR、PART1910.1200に、TDI は、国家毒性プログラム
(NTP)および国際がん研究機関(IARC)によって潜在的な発癌物質に挙げられている。
両方の機関は、動物を用いた大量の経口投与試験が潜在的な癌を引き起こすという口頭発表の TDIT の評価に基づいている。
この研究ではラットとマウスにコーンオイル中のTDIを大量に強制経口投与すると、動物発がん物質として知られているトルエンジアミン(TDA)が生成するということが見い出された。
TDI はがんを引き起こさないが、動物実験で、大量に吸入曝露したときにフリーの TDA が検出可能レベルで生成する。
(Loser, 1983)
MDIの潜在的発がん性と慢性毒性の判定のための研究が行われている。
雄と雌のラットを1日6時間曝露、2年間、週5日、濃度0.2 mg/m3, 1.0 mg/m3, or 6.0 mg/m3で吸引できるMDIエアゾール中にさらした。(Reuzel et al., 1994)。
タイプ II 細胞中で肺腫瘍の初期の低い発生率は、高濃度の時のみにみに見られた。
もう一つの研究は雌のラットを1日7時間、2年間、週5日、0.23 mg/m3, 0.70 mg/m3 or 2.03 mg/m3の濃度で吸引可能なMDIにさらした。
良性の肺腫瘍の始まりは2.03mg/m3の濃度で一匹のみ観察された。(Hoymann et al., 1995)
体外研究の幾つかは、TDIの急速な加水分解でムタゲンとして知られているジアミンを生成する溶媒を用いている。
その結果は、無視されている(Herbold et al., 1998;Seel et al., 1999)。
生体外試験やアセスメントの重みは、TDIは変異原作用がないことを示したことである。
MDIに関して行われた生体外の変異原作用の研究の多くは、迅速な加水分解をもたらす誘発物質として知られる溶剤を使用した場合以外は、変異原性潜在力を示さない。
(Herbold et al., 1998; Seel et al., 1999) これは変異原性の検出で説明できる。
違う溶媒を用いた研究の大多数は、変異原性が生じなかった。
これらの研究の結果は、肺腫瘍の発生や遅発性要因が MDI-DNA 付加体は腫瘍の器官に検出されないか、あるいは細胞増殖とむすびついたので非遺伝毒性モードと一致しているということを示唆している。
肺腫瘍は、認定されている職業性曝露ガイドラインよりも高い濃度においてのみ認められたことから、MDI は労働者にがんのリスクを引き起こす可能性が低い。
幾つかの疫学研究は、ポリウレタンの製造作業者と癌死亡の関係を示すことができなかった。