2:黄砂は来ないがPM2.5は来る | 化学物質過敏症 runのブログ

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・PM2.5
 非常に粒径が小さいPM2.5は、その小ささのために肺の奥深くまで入り込み、なかなか体外に排出されませんので、ぜんそくや気管支などの呼吸器系の疾患を引き起こすとされています。

 このため、中国の経済発展に伴う大気汚染によるPM2.5の増加は、日本にとって対岸の火事ではありません。

 11月28日以降、中国からのPM2.5も加わり、日本列島ではPM2.5の値が高い状態になります(図4)。

図4 PM2.5の予測(11月28日15時)
 この図で、「極めて多い」は「非常に多いの閾値の2倍」、「非常に多い」は「注意喚起レベル」、「多い」は「日本の環境基準程度」、「やや多い」は「大気が少しかすむ程度」です。

 つまり、28日15時には、中国大陸の汚染とは規模が違いますが、日本列島でも広い範囲で「日本の環境基準」以上の汚染が予想されています。

 ただ、一時的なものです。長期間にわたってPM2.5の影響が続く中国と違って、29日になれば、北からのきれいな空気が入ってくるため、PM2.5の濃度は減少します(図5)。

図5 PM2.5の予測(11月29日3時)
 北から寒気が南下し、平年並みまで気温が下がると同時に、きれいな空気も南下してきます。

中国の大気汚染は将来の日本に大きな影響
 中国の大気汚染の影響は中国に住む人にとって大きな問題ですが、気になる報告書もあります。

 平成20年(2008年)3月に経済開発協力機構(OECD)が発表した環境予測では、都市の大気汚染による地表付近のオゾンによって、呼吸器系の病気で死期を早める人は、日本と韓国で2030年には100万人あたり88人と、世界で最も高い数値になっています。

 この予測では、中国は100万人あたり49人です。

 つまり、発生源に近い場所より、汚染物質が移動してきた場所の方が大きな被害を受けるという報告書です。

 PM2.5だけでなく、中国の大気汚染の影響は、周辺国にとって他人事ではないのです。

タイトル画像の出典:ウェザーマップ提供。

図1、図2、図3の出典:気象庁ホームページ。

図4、図5の出典:SPRINTARS開発チーム・ウェザーマップ提供

饒村曜
気象予報士/青山学院大学・静岡大学非常勤講師
1951年新潟県生まれ。

新潟大学理卒業後に気象庁に入り、予報官などを経て、1995年阪神大震災のときは神戸海洋気象台予報課長。

その後、福井・和歌山・静岡・東京航空地方気象台長など、防災対策先進県で勤務しました。

自然災害に対しては、ちょっとした知恵があれば軽減できるのではないかと感じ、台風進路予報の予報円表示など防災情報の発表やその改善のかたわら、わかりやすい著作などを積み重ねてきました。

現在は青山学院大学と静岡大学の非常勤講師で、減災・防災コンサルタント。

2015年6月新刊『特別警報と自然災害がわかる本』(オーム社)という本を出版しました。