・校内は香りつき製品を禁止に
受動喫煙防止と同じ対策必要
マリさんを診察した札幌市の開業医・渡辺一彦医師(渡辺一彦小児科医院院長)は、学校が香害対策に消極的な背景をこう説明する。
―文部科学省の「学校環境衛生基準」が、ホルムアルデヒドなど6種類の揮発性有機化合物(VOC)を基準値以下にするよう定めているため、教育現場では、6種類のVOCが基準値以下なら、SHSは発生しないという誤解がいまだにまかり通っている(注2)。
この結果、近年、急増している柔軟剤・化粧品や消臭・制汗スプレーなど、「香害」による健康被害が軽視される。
しかも、香り商品を使うかどうかは個人の好みの問題で、口出しできないという考えだから、MCSなどになった児童・生徒に対し十分な配慮ができないー。
渡辺医師は「学校の香害はもう放置できない段階だ」とし、厳しい対策が必要だと訴える。
香害はタバコでいえば「受動喫煙」に当たるが、受動喫煙防止対策として厚生労働省は「学校は原則、敷地内禁煙」にする方針だ。
同様の対策を香り製品についても取るべきではないか。
(注2)学校が原因のSHSは「シックスクール症候群」と呼ばれることもある。