C. 曝露とそれによる疾患への脆弱性の低減:ヒトと野生動物が曝露される EDC の性質を知り、両性の全生涯にわたり、かつすべての人種(あるいは動物種)と地域にわたって血液・胎盤・羊水その他の組織中の濃度の情報を得ることが至上命令である。
現状ではヒトと動物の組織からの知見に大きなギャップがあり、発展途上国や経済的転換期にある国で、また生体蓄積性の低い物質で特に著しい。
曝露状況の変化を追跡できるような長期的な記録は少数の国の POP についてしか存在しない。
野生動物もヒトも、物理的・化学的性質の大きく異なる多様な EDC に曝露されている。
またこれらの化合物は通常痕跡量程度の濃度で、かつ複雑なマトリックス内に存在しており、測定には選択性と感度の高い分析法が必要である。
化合物クラスが広範囲にわたるのに応じて多様な分析技術が必要であり、環境およびヒトや動物の組織に存在する種々の化学物質すべてを理解することを困難にしている。
EDC評価の優先順位付けのための分析法とアプローチの必要性も高まっている。
EDC は自然現象(海流、気流)によっても貿易によっても全地球的に輸送され、ヒトも野生動物も曝露される。
食品以外にも屋内環境、電子製品リサイクル、投棄場など新たな EDC曝露源が見出されている(投棄場は特に発展途上国や経済的転換期にある国で問題となっている)。
EDCの曝露源も曝露経路も、さらなる研究を必要とする。
D. 内分泌活性を持つ物質の同定:全世界で使用され放出されている化学物質のうちで内分泌攪乱の可能性を持つものを同定することは困難な課題であり、今日研究対象となっているのは氷山の一角にすぎない。
生産量の多い物質を追跡することも考えられるが、多数の添加剤やプロセスケミカルはそれに該当しない。更に化学品の製造工程、燃焼、環境中での転換によって生ずる未知の、あるいは非意図的な副産物を考えれば、化学物質の種類も複雑さも一層増大することになる。
医薬・農薬の場合は最終製品中の活性成分を記録しなければならないが、様々な材料や物品に含まれる物質は必ずしも記録されない。
パーソナルケア製品や化粧品は成分を公表することが要求されているが、この分野で使用される化学物質だけでも数千種に上っている。材料・製品の化学組成が公表されていないことは、多くのEDC 源が未知のままであることを意味する。
曝露源を知ることは不可欠である。
E. 科学の進歩、革新、疾病予防のための適切な環境の醸成:ヒトと野生動物の EDC への曝露とその健康への影響は、全地球的な解決を擁する全地球的な問題である。
研究者と官公庁の、あるいは国家間の協力とデータ共有を促進するために更に多くのプログラムが必要である。
EDC への曝露・低栄養・劣悪な生活条件の相乗効果による脅威から健康を守るためには、先進国と発展途上国ないし経済的転換期にある諸国との協力関係を促進しなければならない。
また研究機関相互間の壁を取り払い、学際的研究チームの活動を促進するため、適応性の高い新たなアプローチが望まれる。
F. 証拠の評価方法:現在のところ、化学物質(EDCを含め)と健康への悪影響との関連の証拠の強さを評価する方法として広く合意されているものはない。
また透明性の高い方法論も欠けている。
証拠の強さを評価する適切な方法の開発やリスク評価法の改善の必要性は広く認識されている。
臨床の分野ではエビデンスに基づいた意思決定に科学的知見を取り込む方法が開発され検証されている。
しかし環境科学分野では臨床医学と状況が異なり、そのような方法の証拠や決定の文脈をEDCその他の汚染物質への曝露にあてはめることはできない。
この要求に応えるためには新しい方法論的アプローチの探求が必要である。
EDC 曝露と健康影響の関係の評価には更に方法の開発が必要であり、そのために概念実証の方法が現在開発中である。
runより:非常に長い記事でしたがお付き合いありがとうございました。((。´・ω・)。´_ _))ペコ
最近は滅多に一気あげはしなかったのですが体調がバラバラになるこの時期なのでやれる内にやったという感じです。