・出典:ダイオキシン・環境ホルモン対策国民会議
http://kokumin-kaigi.org/wp-content/uploads/2018/08/JEPA-news96-web.pdf
・マニキュアと環境ホルモン
アメリカ製マニキュアの約半数が環境ホルモン作用のある「リン酸トリフェニル」を含有。
身近な環境ホルモンのばく露に注意を。
ジャーナリスト 植田武智
アメリカの環境団体が使用禁止を要求
マニキュアの塗りをよくするために可塑剤として添加されるリン酸トリフェニルに環境ホルモン作用があるとして、アメリカの環境ワーキンググループ(EWG)が使用禁止を求める署名活動に着手しました。
マニキュアを爪に塗るとリン酸トリフェニルが体内に吸収され、尿中の代謝物の濃度が7倍になるというショッキングな研究結果も発表されました。
住宅や家具の難燃剤としても使用
そもそもリン酸トリフェニルは、マニキュアの可塑剤以外にも住宅や家具のウレタンフォーム等の難燃剤として広く使われています。
そのため住宅内のチリやホコリからも高頻度に検出されます。
アメリカと、日本を含むアジア諸国でのバイオモニタリング調査では、リン酸トリフェニルの代謝物が尿や母乳から高頻度に検出されています。
さらにアメリカの別の調査で、女性のほうが男性の2倍も濃度が高いという結果が出たため、女性特有のばく露経路があることが疑われました。
そして今回の研究で、化粧品であるマニキュアからばく露しているということが分かったのです。
日常ばく露レベルで精子減少や肥満の原因に?
このリン酸トリフェニルは、従来の動物実験データでは毒性は低いと考えられてきました。
しかし近年、リン酸トリフェニルに環境ホルモン作用があるという研究が発表され、一般の人たちのばく露量レベルでも影響が出ている可能性が指摘され始めました。
予備的な研究ですが、2013年には、アメリカの男性33人を分析した結果、尿中のリン酸トリフェニル代謝物の濃度が高い男性ほど精子の濃度や運動性が低いという結果が出ました。
またリン酸トリフェニルを含む難燃剤を使った細胞実験では、骨髄細胞に作用して骨の形成を抑制し、脂肪細胞の生成を促進する作用も示されました。
2014年に国民会議が開催した環境ホルモンに関する国際セミナーでブルームバーグ教授が報告した「オピソーゲン=肥満促進物質」の一つであることが示唆されます。
アメリカ製のマニキュアに使用
EWG の報告によると、リン酸トリフェニルはアメリカ製マニキュアの49%に使用されるなど、可塑剤としてかなりポピュラーな成分のようです。
日本製のマニキュアはどうでしょうか。筆者が調べた範囲では、日本のメーカーの商品でリン酸トリフェニルは見つかりませんでした。
しかし、アメリカの大手メーカーの商品で、日本でも市販されているマニキュアには使用されていました。
その一例を表に示しておきます。
そもそも化粧品の可塑剤としては、以前 はフタル 酸 ジブチル(DBP)が多く使われていました。
しかしこれらフタル酸類に環境ホルモン作用が指摘され、その代替物としてアメリカではリン酸トリフェニルの使用が増えたという経緯があるようです。
代替物が必ずしも安全とは限らないという一つの例でしょう。
化粧品は全成分表示が義務付けられているので、製品の表示を見れば使用の有無がチェックできます。
字が小さくて大変ですが、一度ご自分のマニキュアをチェックしてみることをお勧めします。
表│ 日本で売られているマニキュアでリン酸トリフェニルを含むもの
メーカー名 商品名
メイベリンニューヨーク カラー ショー ネイル
レブロン ネイルアートサンキャンディ
オーピーアイ ネイルラッカー
エッシー ネイルポリッシュ