2.植物体内運命試験
(1)水稲
3~4 葉期の水稲苗(品種名:日本晴)を温室内の容器に移植して、[met-14C]チアクロプリドを 200 g ai/ha 又は 1 kg ai/ha(それぞれ想定使用量の 2 又は 10倍量)の処理量で植穴処理し、処理 142 日後に収穫期稲体を採取して、植物体内運命試験が実施された。
また、200 g ai/ha 処理区では移植 62 日後の青刈り試料も採取された。
水稲試料における残留放射能分布は表 12 に示されている。
総残留放射能濃度は収穫期の稲わらで最も高く(1.00 mg/kg)、玄米への残留は僅か(2 倍量処理区で 0.03 mg/kg)であった。
全ての画分で未変化のチアクロプリドと代謝物 M2 が検出され、M2 は 2 倍処理区の青刈り試料で 19.8%TRR(0.06 mg/kg)、10 倍量処理区の玄米で12.8%TRR(0.03 mg/kg)認められた。
ほかに 10%TRR を超える代謝物は認められなかった。
なお、玄米及び稲わらの全抽出液中の残留放射能の大部分は、その化学構造中に 6-クロロニコチン酸(6-CNA)の骨格を持つと推定された。(参照 4、13)
(2)小麦
ポット栽培の小麦(品種名:Thasos)に、[met-14C]チアクロプリドのフロアブル剤を約 50 g ai/ha の用量で、乳熟初期(生育ステージ:BBCH 75)及びその 14 日後(生育ステージ:BBCH 77)の 2 回散布し、試料として初回散布 7 日後に青刈り茎葉を、2 回目散布 21 日後(慣行収穫時)に麦わら及び種子を採取して、植物体内運命試験が実施された。
小麦試料における残留放射能分布は表 13 に示されている。
総残留放射能濃度は麦わらで最も高く、種子への残留は僅かであった。
各試料における残留放射能の主要成分は未変化のチアクロプリドであり、10%TRR を超える代謝物は認められなかった。(参照 5、6、12、13)
(3)わた
ポット栽培のわた(品種名:Coker 310)に、[met-14C]チアクロプリドのフロアブル剤を 125 g ai/ha の用量で、播種 119、126 及び 133 日後(収穫 134、127及び 120 日前)の 3 回散布し、初回散布 3 日後から収穫時まで落葉及び落花弁を、播種 253 日後に植物体地上部を採取して、植物体内運命試験が実施された。
植物体地上部については、蒴果を分取してリント及び種子を取り出し、それ以外の部位をジントラッシュ試料とした。
わた試料における残留放射能分布は表 14 に示されている。
総残留放射能濃度は落葉及び落花弁で高く、種子への残留は僅かであった。落葉及び落花弁並びにジントラッシュにおける残留放射能の主要成分は未変化のチアクロプリドであり、10%TRR を超える代謝物は認められなかった。
種子では未変化のチアクロプリドは僅かで、10%TRR を超える代謝物は M3(45.8%TRR、0.51 mg/kg)及び M3 の抱合体(29.7%TRR、0.3 mg/kg)であった。種子中の未同定代謝物について、単独で 10%TRR を超えるものは認められなかった。(参照 5、6、12、13)
(4)トマト①
温室内ポット栽培のトマト(品種:Bonset F1)の果実及びその周りの茎葉に、フロアブル剤に調製した[met-14C]チアクロプリドを 14 日間隔で 7.9 mg ai の用量で 2 回、合計 15.8 mg ai[ほ場推奨処理量(約 188 g ai/ha)の約 2 倍に相当]散布処理し、2 回目処理の直後、3 及び 14 日後に果実を採取して、植物体内運命試験が実施された。
トマト試料における残留放射能分布は表 15 に示されている。
残留放射能の大部分は表面洗浄液中に存在した。非抽出残留物は僅かであった。
2 回目処理 14 日後に採取した果実において、表面洗浄液には未変化のチアクロプリドのみ(84.3%TRR、0.79 mg/kg)が認められた。
メタノール抽出画分の主要成分は未変化のチアクロプリド(10.1%TRR、0.09 mg/kg)であり、10%TRR
を超える代謝物は認められなかった。(参照 4~6、13)
(5)トマト②
温室内ポット栽培のトマト(品種:Bonset F1)に、フロアブル剤に調製した[met-14C]チアクロプリドを14日間隔で0.55及び0.58 mg ai/本、合計1.13 mg ai/本[ほ場推奨処理量(89.7 g ai/ha)の約 45%に相当]で 2 回土壌散布し、2 回目処理3及び14日後に果実を採取して、チアクロプリドの移行性が検討された。
残留放射能はいずれの試料でも 0.001 mg/kg(0.05%TAR)未満であった。
この条件下では、土壌からトマト果実への移行はほとんど起こらないと考えられた。
(参照 4、6、13)
(6)りんご
温室内ポット栽培のりんご(品種:James Grive)の果実に、フロアブル剤に調製した[met-14C]チアクロプリドを 53.0 ?g ai/果実の用量で 14 日間隔で 2 回塗布し、2 回目処理 14 日後に果実を採取して、植物体内運命試験が実施された。
また、果実から 20 cm 離れた葉 2 枚に同様の処理を行って果実を採取し、移行性が検討された。
検体を果実に塗布したりんご試料における残留放射能分布は表 16 に示されている。
残留放射能は、主として果実表面に未変化のチアクロプリドとして残留していた(表面洗浄液中で 82.4%TRR、0.61 mg/kg)。
検体を葉に塗布した移行性試験では、放射能の大部分(76.7%TRR~83.5%TRR)が処理葉に認められ、果実にはごく僅か(0.04%TRR~0.06%TRR)認められた。
葉に塗布した放射能は、ほとんど果実へは移行しないと考えられた。
(参照 4~6、13)
(7)植物培養細胞
りんご、大豆、小麦、ニチニチソウ、わた、オレンジ、トマト及びばれいしょの培養細胞に、[met-14C]チアクロプリドを 12.6 mg/L となるよう培養液中に添加し、25℃のニチニチソウ培養細胞は白色蛍光ランプ下で、その他の植物の培養細胞は暗所で 7 日間インキュベートして、植物体内運命試験が実施された。
処理 7 日後の植物培養細胞における残留放射能分布は表 17 に示されている。
63.4%TAR~99.9%TAR が培養液中から、1.74%TAR~26.8%TAR が細胞抽出液中から検出され、細胞残渣に残留している放射能量は 1%TAR 未満であった。
細胞抽出液及び培養液における主要残留成分は未変化のチアクロプリドであり、未同定代謝物として少量の放射能成分が検出されたが、全て 4%TRR 未満であった。(参照 4、13)
runより;明後日には終わる見込みです(´・ω・`)
結構重要な事が書かれていますよ、残留性とか。
どういう目で見るかで解釈が変わると私は思います。