3:農薬評価書:チアクロプリド | 化学物質過敏症 runのブログ

化学物質過敏症 runのブログ

化学物質過敏症 電磁波過敏症 シックスクール問題を中心としたブログです

(3)ラット③
Wistar ラット(一群雌雄各 5 匹)に[thi-14C]チアクロプリドを低用量又は高用量(雄のみ)で単回経口投与して、動物体内運命試験が実施された。(参照 4、5、7、13)
① 吸収
a.血中濃度推移
血漿中薬物動態学的パラメータは表 6 に示されている。
血漿中放射能濃度は、低用量群では投与 2~3 時間後、高用量群では投与 4 時間後に最高値に達し、最終消失相の半減期は約 10~45 時間の範囲内にあった。
解析から、放射能は血漿から末梢のコンパートメントへ速やかに分布したことが示唆された。
b.吸収率
尿及び糞中排泄試験[1.(3)④]の投与後 48 時間における尿中排泄率及び胃腸管を除く動物体内残留放射能の合計から、チアクロプリドの吸収率は少なくとも低用量群で79.6%、高用量群で 68.3%と算出された。
② 分布
各投与群の動物から投与 48 時間後に主要臓器及び組織を採取して、体内分布試験が実施された。
投与 48 時間後の主要臓器及び組織における残留放射能濃度は表 7 に示されている。
残留放射能濃度は、肝臓及び腎臓で比較的高かった。
③ 代謝
尿及び糞中排泄試験[1.(3)④]で得られた尿及び糞を試料として、代謝物同定・定量試験が実施された。
[thi-14C]チアクロプリド投与における尿及び糞中の主要代謝物は表 8 に示されている。
チアクロプリドは経口投与後大部分が代謝され、尿中では未変化のチアクロプリドのほかに 16 種類の代謝物(M1、M8、M10、M11、M12+M13、M16、M18、M19、M20、M21、M22、M23、M24、M25、M26 及び M27)が、糞中では未変化のチアクロプリドのほかに 4 種類の代謝物(M1、M10+M11、M16及び M19)が検出された。
チアクロプリドの構造を保持している代謝物の総量は、低用量投与群の雄で42.9%、雌で 32.8%、高用量投与群の雄で 49.8%であり、ピリジニルメチル基が脱離したチアゾリジン由来の代謝物の総量は、低用量投与群の雄で 15.3%、雌で31.5%、高用量投与群の雄で 5.5%であった。
ラット体内における[thi-14C]チアクロプリドの主要代謝経路は、[met-14C]チアクロプリドでも認められたチアゾリジン環の水酸化体M1とそのグルクロン酸抱合体 M12+M13 が生じる経路、シアノ基の酸化による N-水酸化アミド体 M11が生じる経路のほか、ピリジニルメチル基の脱離後ペントース及び硫酸が抱合した M22 が生じる経路、チアゾリジン環の開裂後ピリジニルメチル基が脱離してM18 及び M19 が生じる経路等が考えられた。
④ 排泄
各投与群の動物において、投与後 4、8、24 及び 48 時間の尿を、投与後 24 及び 48 時間の糞を採取して、尿及び糞中排泄試験が実施された。
投与後 48 時間の尿及び糞中排泄率は表 9 に示されている。

投与放射能は主に尿中に排泄された。
(4)ヤギ
泌乳期ヤギ(1 頭)に[met-14C]チアクロプリドを 10 mg/kg 体重/日の用量で 3日間反復強制経口投与し、乳汁、尿及び糞を経時的に採取し、最終投与 6 時間後に組織及び臓器を採取して、動物体内運命試験が実施された。
最終投与 6 時間後までに 48.3%TAR が尿中に、4.47%TAR が糞中に排泄され、乳汁中に0.93%TAR が移行した。可食部組織及び臓器からは 5.6%TAR が回収された。

組織中放射能濃度は腎臓及び肝臓で高かった。
最終投与6時間後における各組織及び乳汁中の代謝物は表10に示されている。
主要代謝物として腎臓で M8 が 12.3%TRR、M12 が 10.1%TRR 認められた。
ほかに 10%TRR を超える代謝物は認められなかった。(参照 4、6)
(5)ニワトリ
産卵鶏(6 羽)に[met-14C]チアクロプリドを 10 mg/kg 体重/日の用量で 3 日間反復強制経口投与し、卵及び排泄物を経時的に採取し、最終投与 6 時間後に組織及び臓器を採取して、動物体内運命試験が実施された。
最終投与 6 時間後までに 75.4%TAR が排泄され、卵中への移行は 0.06%TARであった。
最終投与 6 時間後における卵及び各組織中の代謝物は表 11 に示されている。
主要代謝物としては、筋肉で M11 が 10.9%TRR 認められた。

ほかに 10%TRRを超える代謝物は認められなかった。(参照 5、6)
ヤギ及びニワトリにおけるチアクロプリドの代謝経路は、水酸化並びにグルクロン酸及びシステイン抱合体の形成により、少量ずつの多様な代謝物が生成されると考えられた。