診断の「決定打」がない…科学的実証主義だけでは対応できない「化学物質過敏症」 | 化学物質過敏症 runのブログ

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2018年7月26日
コラム
診断の「決定打」がない…科学的実証主義だけでは対応できない「化学物質過敏症」

 AI(人工知能)など新しい技術が台頭する現代でも、原因がわからない病気があります。

その中で、科学的証拠は不十分でも、状況証拠や、医師としての経験や勘から、「こういう病態に違いない」と診断する病気は結構あるものです。

 その一つに、化学物質過敏症があげられます。

「目のピントが合わない」「目を動かすと気分が悪くなる」…症状様々
診断の「決定打」がない…科学的実証主義だけでは対応できない「化学物質過敏症」

 化学物質過敏症は、20世紀の中頃から米国などで研究が進みました。

2009年からは、医療機関が診療報酬を請求する時に使う病名を示す厚労省の病名リストに加えられました。

シックハウス症候群、シックビルディング症候群もこの仲間と考えられます。

 私の外来にも、化学物質過敏症の患者が10人近く来ています。

 このうち3人は、1995年に起きた地下鉄サリン事件の被害者です。

あの神経毒にさらされて一命はとりとめたものの、さまざまな化学物質に対して過敏になり、苦しんでいます(拙著『絶望からはじまる患者力』に詳述しています)。

 ほかのケースは、新築住宅に住んで1年以内に発症したり、民間療法で使った化学物質をきっかけに発症したりというものです。

新築住宅の場合、建材や壁などからさまざまな化学物質が出てくるためです。

 目の症状は、「目のピントが合わない」「光に過敏」「 瞼まぶた や顔が引きつる」「目を取りたいほど痛い」「目に蓋をされるような感覚」「視野が狭く感じる」「目を動かすと気分が悪くなる」など、人によってさまざまです。

医師が気付かず鎮痛剤を処方…かえって状態悪化
 こうした情報は、私のところは眼科外来なので、聞き出さないと得られません。

詳しくたずねると、「手足のしびれや違和感がある」「転びやすい」「浮遊感がある」「においや音に過敏になっている」「飲み込みにくい」「口の中をかみやすい」「 動悸どうき や息切れがある」など、まちまちです。

 中には、手足のことは整形外科、耳やのどのことは耳鼻咽喉科、動悸息切れは内科に行かなければならないと考えて、あちこち受診している人もいます。

 一方で、診察した医師が化学物質過敏症だとは気づかず、時には鎮痛剤や精神安定剤などを処方したため、患者さんの状態がかえって悪化している場合もあります。

 全身に及ぶ不調について、なかなか適切な診断に至らないのは、診療科が臓器ごとの縦割りだからでしょう。

 

医学は万能ではない…状況証拠や医師の推察からの診断を軽視しないこと

 全身に及ぶ不調は、化学物質過敏症のほかにも、慢性疲労症候群、線維筋痛症など種々の病名があります。

いずれも、状況証拠や医師の推察から診断がつくものですが、共通の検査所見や症状といった、診断への「決定打」はありません。

 このため医師の中には、こうした病気の存在そのものに懐疑的な見解もあります。

とはいえ、つらく厳しい症状に日々苦しむ患者を前に、「決定打」がないからといって、医師が無視をしたり、診察を拒絶したりすると、行き場を失った患者が、 儲もう け主義の民間療法や宗教まがいの行為に引っかかってしまいかねません。

 臨床医は科学者の端くれを自認しているので、一流の学術誌に掲載された実証的な事項は重視しても、そこでは認められていない、目の前の患者から把握できた状況証拠を軽視する傾向があります。

 でも、診断にいつも確度の高い科学的根拠を求めようとしても、現代医学の浅い歴史の中では、まだまだ研究が不足しているのです。

そのことを、専門家も一般の皆さんも知らなければなりません。医学が万能ではない現在、推定診断を軽視してはならないのだと思います。

 (若倉雅登 井上眼科病院名誉院長)

 

runより:化学物質過敏症は「臨床環境医学」という部類に入ります。

臨床(現実に起こっている事)環境(化学物質暴露など)から考えるもので医学というよりスキルみたいなものです。

医学界は理解できない事は認めないという姿勢ですが食物アレルギーすら最初は認められませんでした。

医学なんてそんなもんです、時代によって変わるんですよね( ̄_ ̄ i)