連邦政府レベルでは、化粧品を監督する食品医薬品局(FDA)は製造者らに対して、事前に彼らの成分が安全であることを証明することを求めておらず、FDA は製品の回収を求める前にその危害を証明しなくてはならない。
そして、FDA が化粧品メーカーに彼らの成分を開示するよう求めても、香料と香気の化学物質については企業機密の例外条項がある。洗剤やエアフレッシュナーのような製品は、消費者製品安全委員会の権限範囲にあるが、同委員会は香料の安全性の審査に積極的ではない。
”政府は、現実的な規制を提供していない”ということが問題であると、エンバイロンメンタル・ワーキング・グループ(EWG)の政府担当の副代表スコット・ファーバーは述べている。
産業側の自主規制に頼ることが結局誤りをもたらすという多くの事例がある。
2010年、”安全な化粧品キャンペーン”という連合が、よく使われ香水、コロン、及びボディスプレーなど 17品目の独立したテスト実施を委託した結果を明らかにした。
EWG はその結果を次のように分析した。各製品は、”内分泌かく乱及びアレルギー反応に関連する化学物質”及び”問題ある有害特性を持つ、又は人の組織中に蓄積する傾向のあるその他の化学物質”を含んで、12種以上の開示されていない化学物質を含んでいたと EWG は報告している。
その年の初めに、Women's Voices やその他の団体の圧力の下に、国際香料協会(IFRA)は、そのメンバーによって使用されている約 3,000 種の化学物質のリストを発表した。Women's Voices は、昨年11月にその分析を発表した。その結果は:リストされた成分の1,000以上はまた、懸念ある化学物質として公式なリストに挙げられている物質を含んでいる。
例えば国連は、香料化学物質の 3分の1以上について”警告(warning)”という言葉で注意を促し、190種について”危険”と明示的に表示している。
世界保健機関(WHO)の一機関である国際がん研究機関(IARC)は、7種の成分をヒトに対する発がん性が疑われるとしてリストしている。
15種の化学物質は、欧州連合では化粧品での使用を禁止されていることに Women's Voices は言及した。
Women's Voices の報告書の著者である科学者のスクラントンは、香料協会(IFRA)のリストはそれぞれの化学物質がどのくらいの頻度で、またどのくらいの量で用いられているのかを何も示しておらず、そのことが綿密に調べるのを難しくしていると指摘した。
”香料中の化学物質のリストに(ヒトに対する発がん性が疑われる)スチレンがあるが、これはレッドカードである”と彼女述べている。
”それは非常に、非常にまれに、非常に少量だけが使われているのだろうか? ことによるそれは目にするすべての香料で使用されているのか? もしそうなら、それは問題である”。
ウェブサイトに掲示されている概要書の中で、香料協会は”最高レベルの安全性”を確保する産業側の能力をほめちぎり、異なる大陸における様々な国の多様な法律とは異なり、産業側は自主規制を通じて新たな発見に対してもっと迅速にそして効率的に対応すると主張している。
同協会は、科学に基づくと称する基準を生成するために、その研究部門である香粧品香料原料安全性研究所(Research Institute for Fragrance Materials / RIFM)と共に働いている。
Women's Voices はこの仕組みについて、いくつかの問題点を例証している。第一に、香料の安全研究の大部分は香料研究所(RIFM)によって実施されている。
香料協会は年間約800万ドル(約9.2億円)を製造者との共同研究又は香料会社自身による研究に費やしていると述べている。
しかし、産業側の研究はほとんど公開又はピアレビューされることはなく、その結果が操作されていないことを確実にするためのラボでの実施の日常的なレビューは行われていないと、Women's Voices は言う。
しかし過去1年で欧州委員会消費者安全科学委員会は、香料研究所による研究を検証し、不完全なデータと妥当でない手続きを含んで、その方法論に繰り返し誤りがあることを発見した。
産業側は安全データを綿密に調べ、”独立系の専門家”の委員会によるガイダンスをもった安全基準を作成したが、その委員会の審議は公開されていない。
香料協会のウェブサイトによれば、これらの基準は同協会が過去数年間、禁止又は制限している 186物質に達するが、Women's Voices は同協会はその基準を管理するためにほとんど何もしていないと主張している。
”この香粧品香料原料安全性研究所(RIFM)はブラックボックスのようなものである”とブレスト・キャンサー・ファンドの計画・政策ディレクターであり、安全な化粧品のためのキャンペーンのディレクターであるジャネット・ヌーデルマンは言う。”彼らの安全研究はどれひとつ公的に入手することができない” 。
香料研究所(RIFM)は Women's Voices の発見について反論しなかったが、”産業界は、継続する健康と環境の安全レビューを通じて消費者の利益に目を向ける”ことを確認する声明をもって、簡単に応答した。
しかし産業界は使用している化学物質に関してもっと透明性を持たせることにまだ反対している。
例えば香料協会は、昨年2月にカリフォルニア州下院議員レジー・ジョーンズ=ソーヤー(民主党、ロスアンジェルス)によって提案された、洗浄製品の製造者に上位 20の成分をラベル表示させる法案に反対した。
同下院議員への書簡の中で同協会は模造品について懸念していると述べた。
香料過敏症のニューヨークの教授ミラーは、もし会社が製品中に何があるのかについて明らかにするなら、それは彼女のような人々にとって”非常に役に立つであろう”と述べた。
”香料は、なにか素敵という概念だけではなく、実際にはかなり汚い化学物質の組み合わせである”と彼女は言う。
この記事は、公衆の健康、安全及び環境に焦点を当てた非営利ニュース組織 FairWarning によって報告された。