・出典:ダイオキシン・環境ホルモン対策国民会議
ニュースレター第107号2017年10月
http://kokumin-kaigi.org/wp-content/uploads/2018/04/JEPA_news-107.pdf
マイクロプラスチックのグローバル環境汚染
環境脳神経科学情報センター 木村-黒田純子
私達が日常使っている食卓塩に、マイクロプラスチック(以下 MP)が含まれているというニュースが、最近報道された*1。
MP はサイズが5mm 以下で、プラスチック製品が紫外線などで壊れて微小になったもの、マイクロビーズのように元々サイズの小さな粒子や、化学繊維からでた微小な繊維も含まれ、日本を含む世界中の海洋で汚染が見つかり問題になっている。
2017年、国際科学誌に、スペイン、マレーシアらの2グループが市販の塩を調べ、ほぼ全てに MP が検出されたと報告した*2, 3。
マレーシアの研究者は、8か国の海塩14種、湖塩2種などを調べ、1種以外の塩に、1-10個 /kg の MP を検出した。
日本産の海塩1種も調べられ、色素フタロシアニンで着色された MP が1個 /kg 検出された。
スペインの論文では、国内産の海塩16種、地下の塩水由来の塩5種を調べ、50-280個 /kg の MP が由来に関係なく検出された。
MP の素材は、ポリエチレンテレフタレート(ペットボトルの素材)、ポリプロピレン、ポリエチレンなどが確認されている。
他にもNY 州立大の研究では、米国で市販されている各国産12種の食卓塩(海塩は10種)から MP が検出されたことが、英国 Guardianオンライン版に報道された*1。
既に2015年、中国で販売されている15種の海塩、湖塩、岩塩を調べたところ、全てに MP が検出され、なかでも海塩に一番多かったことが報告されている*4。
これら4つ報告では検出方法が異なるので個数の比較はできないが、ほとんどの塩に MP 汚染が確認された。
Guardian は、これを受けて「MP問題は、地球温暖化問題に次ぐ“現在進行形”のグローバル環境汚染であることが、改めて確認された」としている。
これらの汚染から換算して、ヒトが一年間に塩から取り込む MP は数十から数百程度で、“直ちに”起こる影響はないが、MP 汚染は至るところに広がっており、私達は日常的に多様な経路から MP を曝露している。