2:松枯れ対策で散布される殺虫剤の危険性 ―フェニトロチオン、アセタミプリド、チアクロプリド | 化学物質過敏症 runのブログ

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有機リン系フェニトロチオンの人間への毒性

:フェニトロチオンの多様な毒性フェニトロチオン(別名:MEP、商品名:スミチオン)は、農薬登録されてから58年間使用され続けている殺虫剤だが、人間で中毒例、死亡例も多く報告され*1、PRTR 法第一種指定物質にもなっている。

2015年の国立環境研究所(以下、環境研)のデータでは、国内で一番多い出荷量の殺虫剤は未だに有機リン系で、その中でもフェニトロチオンが一番多い。
その毒性は、アセチルコリンエステラーゼ阻害による神経毒性だけでなく、別の作用経路を介した慢性毒性、変異原性、発癌性、発達神経毒性、免疫毒性、さらに男性ホルモンを阻害する環境ホルモン作用も確認されており、精子形成異常を起こす報告もある*1。

フェニトロチオンは環境中や生体内で、オキソン体に変わりやすく、この代謝物は、急性毒性が桁違いに高くなるため、危険性が増す。
EU では、フェニトロチオンに環境ホルモン作用があるとして、2007年に農薬登録が失効している。

米国では、有機リン系農薬曝露が子どもの脳発達に悪影響を起こす報告が多数出たことから、フェニトロチオンの登録はあるものの、ごく限られて使用され、農産物にはほぼ使用されていない。
:より危険なスミパイン MCスミパイン MC は徐放効果のあるマイクロカプセルにフェニトロチオンが入っているもので、接触したり日光に照らされるとカプセルが壊れて、中の殺虫剤が放出する。
2008年出雲市では、松枯れ対策にスミパイン MC が撒かれ、被害者が大勢出て問題となった。その際、出雲市が設置した健康被害調査委員会の報告*2で、住友化学は「マイクロカプセルはウレタン製」と明言している。

ウレタンの原料であるイソシアネートは、重合してポリマーとなれば毒性がないが、単体の毒性が高く、マイクロカプセルから毒性の高い単体が放出される可能性があり、殺虫剤との二重曝露で被害が甚大になったのかもしれない。
ネオニコチノイド系アセタミプリド、チアクロプリドの人間への毒性ネオニコチノイドは、害虫特異性が高く、人間には安全と宣伝されて使用量が急増したが、ハチなど益虫を含む生態系に悪影響が大きいことが判明して、世界的には使用規制がかけられてきており、人間を含む哺乳類への毒性も報告が増えている。