・2018.2.1
http://diamond.jp/articles/-/157912
「ニオイ気にし過ぎ」社会が“香害”被害者を増やしている
岡田幹治:ジャーナリスト
「香害」とは、消臭・芳香財などの香りつき商品の成分で健康被害を受ける人たちが急増している、新しい公害のことだ。
被害を受けると、「化学物質過敏症(MCS)」「シックハウス症候群(SHS)」「喘息」「香料アレルギー」を発症したり、悪化させたりして、通勤が苦痛になり退職したり、学校に行けなくなったりする例が起きていることを前回、お伝えした。
今回は、日本社会に蔓延する「ニオイ(体臭)気にし過ぎ」が、消臭・芳香剤などの大量使用を通じて被害者を増やしている実態を報告する。
「ニオイ対策」セミナー盛況
お互いに「ニオイ、大丈夫?」
「ウッ、クサい!」「うあー!」
小瓶を鼻に近づけた参加者から次々に声が上がる。小瓶には「汗臭(あせしゅう)」「ミドル脂臭」(中年男性に特有の体臭)、「加齢臭」のサンプルが入っている。
男性用化粧品大手のマンダムが開いている「においケアセミナー」で、いつも見られる場面だ。
近年、この国は「スメルハラスメント(スメハラ)」(汗などのニオイで周囲に迷惑をかけること)という言葉が流行するほど、ニオイに敏感になった。
強いニオイは社員の集中力を低下させたり、顧客や取引先に不快な思いをさせたりすることもあるが、ニオイの問題は個人差があり、体質とも関係するので、扱いがやっかいだ。
そこで、30~40人の集団で学んではどうかと、企業向けに企画されたのが、このセミナー。
マンダムの専門家が約1時間、いまなぜニオイ対策が重要か、体臭はどうして発生するか、制汗剤や汗拭きシートをどう使うと効果的かを説明する。
商品広報のようなセミナーだが、2014年に始めてから、延べ50社以上で行われ、2000人以上が受講している。