・4.生化学的影響
酸化ストレスと脂質過酸化Kapoor et al. (2010)は酸化ストレスと脂質過酸化に対するイミダクロプリドの無影響量を雌ラットで調べた。
イミダクロプリド (5, 10, 20 mg/kg/日)を 90 日間投与し、スーパーオキシドジムターゼやカタラーゼ、グルタチオンパーオキシダーゼの活性やグルタチオンと脂質過酸化のレベルを、肝臓や腎臓、脳で調べた。
5 および 10 mg/kg/日投与では以上パラメーターの活性やレベルに変化がないが、20 mg/kg/日では有意な変化が起きた。
ここから雌ラットの酸化ストレスや過酸化脂質形成の無影響量は 10 mg/kg/日であると推定した。
イミダクロプリドは酸化ストレスを与え、過酸化脂質形成を起こす
5.急性中毒
致死量
実験動物で調べた半数致死量 LD 50はマウスの経口投与やラットでの腹腔投与では劇物に相当すると報告されている(食品安全委員会 2007)。
半数致死量(食品安全委員会 (2007)より)
投与経路 動物 雌雄 L D 50 症状
(mg/kg 体重)
経口 ラット 雄 424-440 沈静、振戦、呼吸異常、痙攣、無関心、眼裂縮
雌 410-475 小など
マウス 雄 100-131 沈静、振戦、呼吸異常、痙攣など
雌 98-168
経皮 ラット 雄 >2000-5000 症状なし
雄 >2000-5000 症状なし
腹腔 ラット 雄 171 無関心、努力呼吸、頻呼吸、痙攣、振戦、攣縮雌 186 立毛死亡例・急性中毒例イミダクロプリド中毒では、イミダクロプリド自体の毒性によるものか、製剤を作るのに使う溶剤によるものか注意を要する。
Proenca et al. (1995)はイミダクロプリドで死亡した2 例を紹介している。
亡くなった 2 例のイミダクロプリド血中濃度は 12.5 μ g/ml および2.05 mg/μ g であった。
その他に、尿や胃内容物、肺、肝蔵、腎臓からも検出された.。
Panigrahi et al. (2009)もイミダクロプリド重症例で呼吸停止が起こり、人工呼吸を必要とした 1 例を報告している。
この患者は後に回復している。
イミダクロプリドの半数致死量は、劇物に相当する値をマウス経口投与やラット腹腔投与で示す
イミダクロプリド製剤は、イミダクロプリド自体の毒性のみでなく、使用する溶剤などの添加物にも注意を要する
イミダクロプリド自殺企図例で、症状が現れた中央時間は 4 時間ほどである。
症状は吐き気や嘔吐、頭痛、下痢が主で、重度では呼吸不全が起こる
有機リンの解毒剤はイミダクロプリド中毒を悪化させる
スリランカの Mohamed et al. (2009)は自殺目的のイミダクロプリド中毒例 68 件を分析した。
症状発現の中央時間は 4 時間で、嚥下した中央量は 15 ml であった。
大部分の患者で、吐き気や嘔吐、頭痛、下痢のような弱い症状が現れた。
一人の患者で人工呼吸が必要であった呼吸不全が起こし、別の患者では鎮静状態が長引いたため集中治療室に送られた。
死亡例はなかった。
以上の結果から、イミダクロプリドが大量に摂取しても死を招くことが少なく、呼吸不全と意識レベル低下が最も重い副作用であるが、このような重症例は一般的ではないと、Mohamed et al. (2008)は報告している。
彼らによると、イミダクロプリド中毒では、有機リン中毒の治療に使われている解毒剤は、中毒を悪化させるという。
runより:イミダクロプリド中毒では、有機リン中毒の治療に使われている解毒剤は、中毒を悪化させるという。のを読んで寒気がしました(´・ω・`)