3:有機燐:フェンチオン MPP、バイジット | 化学物質過敏症 runのブログ

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発癌性
 
○ 結論を出すにはデータが不十分である。[1]
 
○ フェンチオンの発癌性試験で、発癌性であることが雄マウスで示された。[1]
 
○ ラットとマウスの2年間投与実験で発癌性は観察されていない。[1]
 
○ 米国立癌研究所の研究で、フェンチオンを投与したラットで甲状腺腺腫と精巣腫瘍の発生が見られた。

その後のより多量を投与した実験では同じ種類の腫瘍が増加するという証拠は見られていない。[2]
 
○ マウスに0.1、1.0、 5、25 ppmのフェンチオンを含む餌を102週間与えた実験で、 5 ppm投与グループで肝臓腫瘍の発生が多かったが、25 ppm投与群では多くなかった。[2]
 
○ マウスに10又は20 ppmのフェンチオンを含む餌を投与した場合に、皮膚腫瘍(肉腫、繊維肉腫、横紋筋肉腫)の発生が見られた。

同様の以後の研究では腫瘍の発生増加は見られなかった。[2]
 
 
器官毒性
 
標的器官には中枢と末梢(まっしょう)神経系、心臓がある。

また眼にも長期的影響を与える。[1]
 
 
神経系に対する影響
 
中毒時の錐体外路症状の発生
 
○ フェンチオン中毒後に錐体(すいたい)外路症状が現れた例がスリランカのペラデニヤ大学のグループによって報告されている。

この錐体外路症状の特徴は、ジストニアと静止時振戦・歯車様剛直・舞踏病様アテトーシス*であった。

中毒後のこれらの徴候の発症までに4日から40日の遅れがあった。

症状は1-4週間後自然に消失した。

これらの症状の発現にはアセチルコリン作動系が関与していると思われる。[8]
 
 
脳の細胞を破壊する
 
○ 海馬(かいば)は短期的な記憶に関与する脳の部位であるといわれている。

フェンチオンに対する長期少量被ばくの海馬に対する神経毒性を米国環境保護庁のベロネシらのグループは検討した。

ラットに25 mg/kg/日のフェンチオンを 週 3 回経皮投与し、2か月と10か月間の被ばく期間後に海馬で形態的及び生化学的な検査をした。[9]
 
被ばく2か月後には海馬の一部である歯状回やCA4、CA3といわれる部位で、グリオーシス*や膨化した細胞や壊死(えし)した細胞・細胞脱落が見られた。

この時期の脳では中隔や歯状回分子層、CA4、固有海馬でアセチルコリンエステラーゼ染色は激しく低下した。
 
10か月の被曝(ひばく)後、CA4とCA3、細胞壊死とグリオーシスは強くなり、時にはCA2までに広がった。
 
2か月と10か月の被ばく後にアセチルコリンエステラーゼはそれぞれ65%と85%抑制された。

海馬のムスカリン性受容体は2か月と10か月にそれぞれ6%と15%低下した。
 
別の老化したラット(12か月)のラットに同じようにフェンチオンを投与し、2か月と10か月間被ばくさせた。

老化したラットでは2か月の投与で、若いラットに10か月間投与した場合と同じ様な重度の海馬変性を示した。

10か月間投与した場合さらに広汎な組織の病的変化を示し、時にはCA1にも変性が見られた。
 
これらの結果は若いラットと老化した動物で、抗コリンエステラーゼ化合物の少量長期投与は、深刻な神経毒作用をほ乳類海馬で生じることを示している。

特に老化したラットでは重度の損傷を受けることを示している。
 
 
行動に対する影響
 
フェンチオン散布にかかわった31人の労働者で有機燐慢性被ばく後の認識の変化を調べた研究がある。

散布者の平均年齢は32.1才で被ばく間は平均10.5年であった。

労働者は散布後一過性の弱い症状を報告している。

過剰なコリン作動性活動の臨床的証拠はなかったが。

視覚保持検査や記憶指数などに微妙な変化が起きていることが分かった。[10]