○ 非常に多量では意識消失や失禁・けいれん・死亡を招く。[1]
中間症候群*
○ 65才女性がフェンチオンを飲み、急性発作7日後に中間症候群を発症した例がある。[3]
○ 中間症候群を発症したと思われる報告がある。[5]
慢性毒性・長期投与試験
○ ラットに12.5 mg/kg日を投与すると、体重低下と脳コリンエステラーゼ活性の85%阻害を4週間でおこす。2.5 mg/kg/日投与でも程度は軽いが阻害が検出されている。[1]
○ サルにフェンチオンを慢性投与した研究がある。血漿(けっしょう)コリンエステラーゼの低下は 0.02 mg/kg/日という少ない量で起こり、赤血球アセチルコリンエステラーゼは 0.07 mg/kg/日で起こった。[2]
○ 有機燐に対するくり返しあるいは長期被ばくは遅発性症状を含む急性被ばくと同じ影響を起こすだろう。[1]
○ ナイジェリアで散布中に防護衣を着用していなかった散布者で、全血コリンエステラーゼ活性の低下が見られた。[1]
○ フェンチオン散布にかかわった31人の労働者で有機燐慢性被ばく後の認識力の変化を調べた研究がある。
散布者の平均年齢は32.1才で被ばく間は平均10.5年であった。
労働者は散布後一過性の弱い症状を報告している。
過剰なコリン作動性活動の臨床的証拠はなかったが。視覚保持検査や記憶指数などに微妙な変化が起きていることが分かった。[6]
○ イヌに1.25 mg/kg/日を1年間投与した場合に体重低下や餌摂取減少は見られなかった。[1]
中毒事故
○ EPAはフェンチオン再登録のために検討した文書の中で人間の中毒事故についてまとめている。
中毒防止センターのデータによると、1985-1992年の間にフェンチオンの職業被ばくは52件で、非職業被ばくは417件であり、その95%以上がフェンチオンにのみ被ばくした。
1993-1996年に13件の職業被ばくがあり、4例は軽い症状、1例は中等度の症状、6人は医療施設に行ったという。[14]
○ カリフォルニア農薬規制部は1982年から1993年の間にフェンチオン中毒の6例を報告している。
その中でフェンチオンだけに被ばくしたのは3例であった。
2つの事件は全身中毒となり、蚊駆除の間に散布者の顔面にスプレーが逆流したためであり、1例は作業服にフェンチオンをこぼした獣医技術者であった。[14]
○ イヌの局所に20%剤を使用したときに皮膚保護をしなかった動物病院労働者で、手足のひりひり感としびれから全身脱力と激しい痛みまでの症状が現れた。[1]
生殖への影響
○ イヌに1.25 mg/kg/日を1年間投与した場合に体重低下や餌摂取減少は見られなかった。[1]
○ マウスで妊娠10-12日に投与すると発達中の胎児で中毒が起こった。
中毒は母マウスに毒性が現れる投与量で主に起こった。[1]
○ イヌに1.25 mg/kg/日を1年間投与した場合に体重低下や餌摂取減少は見られなかった。[1]
内分泌系への影響
フェニトロチオンではテストステロン受容体を阻害し、雄の性的発達に影響を与えることが知られており、フェニトロチオンで見られたホルモンかく乱作用は、有機燐剤に共通する可能性が指摘されている。
フェンチオンでも早急に検討する必要があるだろう。
催奇形
○ フェンチオンに催奇性はないと思われる[1]
○ 器官が形成される時期に、1回あるいは3日間 80 mgまでのフェンチオンを腹腔内投与したマウスで、胎児重量は低下したが欠陥は発生しなかった。[1]
○ 60 mg/Lのフェンチオンを含む水を飲んだマウスの5世代で催奇影響は見られなかった。[1]
変異原性
○ 変異原性のデータは結論を出すには不十分である。[1]
○ マウスでの検定では変異原性を示さない。[1]
○ マウスの小核試験で陽性であった。[2]
○ 人間の培養リンパ球で姉妹染色分体交換を増加させる。[3]
○ ラットの培養肝細胞で不定期DNA合成を誘導する。[2]
○ フェンチオンはチャイニーズハムスター培養細胞で姉妹染色分体交換を培養細胞で引き起こす。また細胞周期の遅れを招く。[7]