5:グリホサート(ラウンドアップ) | 化学物質過敏症 runのブログ

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・発がん性
グリホサートの発がん性は否定されてきたが、2015 年の WHO の国際がん研究機関(IARC 2015)はグリホサートを「ヒトに対する発癌性があると考えられる」グループ 2の中で、可能性が高い「ヒトに対する発癌性がおそらくある」という 2A グループに分類したと発表した。

 

動物実験
グリホサートに発癌性はないとされていた。しかし、動物での発癌性実験や内分泌かく乱作用・疫学調査を総合的に考えると懸念を消し去ることができなかった。

2015 年 3 月に世界保健機構(WHO)の国際がん研究機関(IARC)はグリホサートを人におそらく発がん性がある物質としてグループ2 A に分類した。
米国環境保護庁は、グリホサートの再登録審査時に発癌性に関する 3 つの研究を見直している(US EPA 1993)。
・雌ラットで甲状腺の C 細胞癌が、雄ラットで精巣の間細胞(ライデッヒ細胞*)腫瘍が増加したが、統計的に有意でないこと及び間細胞の発生率が史的対照と同じことから、発癌性があると考えなかった。
・別の実験では、雌ラットの膵島細胞の腺腫と幹細胞の腺腫・甲状腺の C 細胞腺腫が増加した。

しかし、環境保護庁は統計的に有意な増加が見られないなどの理由で、発癌性があると考えなかった。
・マウスでの投与実験で腎臓の尿細管腺腫がわずかに増加したが、統計的に有意でないなどの理由で、発癌性があると考えなかった。
以上の研究で「統計的に有意な増加」表現がされている。

統計的に有意にならないことと、起こらないことは同じ意味ではない。

これらの実験で、検出力が十分であったかどうかが問題である。

検出力は実験動物数などが影響する。実験結果の解釈については疑問が提出されている(Cox 1998)。
精巣の間細胞(ライデッヒ細胞)の腫瘍は、先に述べたようにラウンドアップが精巣の間細胞でステロイド合成を阻害するという実験結果が示されていることからも再検討する必要があるだろう。
グリホサートは環境中に広く残留し、遺伝子改変食品に散布されることが多く、一部資料では 400 ppm もの残留が認められているので、Gasnie et al. (2009)は人間の培養肝細胞をグリホサート自体とその製剤について、細胞毒性や遺伝毒性、ホルモンかく乱作用、アンドロゲンからエストロゲンへのアロマターゼによる転換に対する影響を調べた。

グリホサート製剤は農業で使われる量より少なくてもこれらのパラメーターに影響を及ぼした。
これらの影響はグリホサート濃度よりも、製剤に依存している。

DNA 障害は 5 ppm で生じた。
これらのデータはグリホサート系除草剤の発癌性・変異原性・生殖毒性を考慮すべきであるとしている。
George et al. (2010)は 2 段階発癌モデルを用いマウスの皮膚でグリホサートの発癌性を調べた。

グリホサートには発癌のプロモータとして働くことが分かった。プロテオーム解析*1でグリホサートやプロモーターとして良く知られている TPA *2などでは 2 倍以上発現している 22 スポットが確認された。

その中の 9 スポットはグリホサートや TPA を投与したマウス皮膚と共通した発現パターンを示した。

これらのスポットに相当するタンパク質はアポトーシスや増殖抑制、抗酸化反応など細胞の重要なプロセスに関係する。

これらはグリホサートは発癌プロモーション作用を証明し、そのメカニズムが PTA に似ていることを示した。
*1 プロテオーム解析:プロテオミックスともいう。

ある生物がその時点で保有する全タンパク質のセットを調べる。
*2 TPA:12-O-tetradecanoyl-phorbol-13-acetate の略。TPA は強力なプロモーターとして知られている。DNA が傷害され,癌の素地が作られるが、それだけでは癌として成長しない。

プロモーターはこの異常な細胞を増殖させる物質などである。