・http://www.maroon.dti.ne.jp/bandaikw/
出典:私たちと子どもたちの未来のために
・ピレスロイドの発達中の神経系に対する影響
ここ20年ほどの間に、脳の発達に関する研究が飛躍的に進み、また神経毒物学という神経系に対する毒物の影響を調べる分野の研究も進んできた。
脳の発達は子宮内の胎児の段階から始まり、生まれ、青年期まで続く。
脳が正常に発達するためには、発達段階に特有な種々の変化を必要とし、その変化は次の変化を導く。
そのため、発達中の脳は栄養の欠乏や化学物質汚染に非常に敏感なことが分かってきた。
発達中の有機燐系農薬の影響は比較的良く調べられているが、ピレスロイド系の農薬でも幼い時期にピレスロイドを投与すると、永続的な行動や脳の機能に影響が現れることが分かってきた。
ここで、現在までに報告された、ピレスロイドの発達中の脳に対する影響を要約する。
胎児への影響
妊娠14日から20日まで、毎日コーン油に溶かしたピレスロイド系殺虫剤デルタメトリンをラットに少量(1.0 mg/kg)投与し、生後6週間と12週間に、行動やアセチルコリンエステラーゼ*の活性・アセチルコリン受容体*・神経の分化などに関する特殊な蛋白質の分布を調べた。(2)
学習と記憶能力の低下
迷路学習を用いて学習と記憶能力を調べたところ、6週目と12週目に対照より低下していた。
アセチルコリンエステラーゼの増加
アセチルコリンエステラーゼは神経伝達物質の一種アセチルコリンを分解する酵素で、有機燐やカーバメート系の殺虫剤に曝されると活性が低下することが知られている。
妊娠中にピレスロイドを投与すると、ラットが成熟した時期にアセチルコリンエステラーゼ活性に有意な増加が見られた。
海馬は記憶に関連する脳の一部である。