5:香料の健康影響 | 化学物質過敏症 runのブログ

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香料の代謝・体内分布・蓄積
脳障害治療にムスクが使われるという。南京中医薬大学の陳らのグループはラットでムスコン(ムスクケトン)が血液脳関門を通過するかどうか調べた。

ムスコンは血液脳関門を通り、急速に最も高い濃度に達し、高濃度で残留する。

他の器官と比較して脳内ではゆっくりと代謝される(Chen et al. 2004)。
人体内でムスクが検出されており、パーソナルケア製品や石けんなどの着香製品使用との関連が指摘されている
3.前項第2号又は第3号に規定する目的のために使用される物(前2号に掲げる物を除く。)のうち、厚生労働大臣が指定するもの」
オーストリアの 50 才以上の女性で 11 種類の合成ムスクを測定し、若い女性の結果と比較した。

血漿中のガラクソライド(89%、最大 6900 ng/L)が最も多く、次いでムスクキシレン(62%、最大濃度 189ng/L)が検出された。

ガラクソライド濃度は香水やデオドラント、シャンプー使用頻度と有意に関連する。

ムスクキシレン濃度は石けんや繊維柔軟剤使用と相関していた。また高齢者でこれらの血漿中濃度が高くなることを示した(Hutter et aal.2010)。

これらの結果は高齢者の生活習慣や皮膚の老化、ドライスキンのためにパーソナルケア製品を多用するためではないかと考えた。
Muller et al. (1996)はスイスからの人体脂肪中のムスクを測定し、288ng/g 脂肪までののムスクキシレンと 171 ng/g 脂肪までガラクソライドとを検出した。

これら化合物の毒性がほとんど分からないので心配であると述べている。
ニトロムスク生産減少に伴い多環式ムスク化合物生産が増加している。

Hutter et al.(2009)はこれらのニトロムスク 5 種と多環式ムスク 6 種の血漿中濃度を調べた。

最も検出率が高かったのはガラクソライド(91%、中央値 420 ng/L)で、次いでムスクキシレン(79%、中央値 11 ng/L)であった。

若い年代で、ローションと香水使用は多環式ムスクの血中濃度を予測した。1990 年代と比較してニトロムスク検出率は低かった。

ニトロムスクの起源は皮膚に使う化粧品であると思われる。
合成ムスクが母乳から検出されている(Lignelll et al. 2008, Reiner et al. 2007)。
Lingnell et al. (2008)は初産女性の母乳中のニトロムスク 2 種類(ムスクキシレン、ムスクケトン)および多環式ムスク 5 種(ガラクソライド, トナライド, セレストライド, トラセオライド、ガラクソライド)を分析した。

最も高い中央濃度はトナライド(10.4 ng.g)で、次いでムスクキシレン(9.5 mg/g)で見られた。

妊娠中に香水を良く用いる婦人には高い母乳中ガラクソライド濃度があり、高いトナライド濃度であった婦人は着香洗濯洗剤を使っていた。

このことは着香製品が母親と乳児の重要なムスク被ばく源であることを示す。

トナライドとムスクキシレン濃度は 1996 年から 2003 年に有意に減少しており、これらの物質を消費製品に使うことが少なくなったか、消費動向の変化があったことを示す(Lignell et al. 2008)。
Ueno et al. (2009)は日本のサンプルで母乳と脂肪組織中の多環式ムスクを分析した。

母乳中のガラクソライドやトナライド濃度は湿重量を基準として<50 から 440 ng/g と<50 to190 ng/g であった。

脂肪組織中のガラクソライドとトナライド濃度はそれぞれ<10 to 33ng/g と <10 から 13 ng/g であった。この値は米国や欧州のレベルに匹敵する。