ネオニコチノイド農薬―EU・米国・日本の最近の動き | 化学物質過敏症 runのブログ

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ネオニコチノイド農薬―EU・米国・日本の最近の動き
理事 水野玲子
2013年末よりEU では、浸透性農薬のネオニコチノイド(以下、ネオニコ)3成分とフィプロニルの一時使用中止が開始されましたが、その後の日本も含めたネオニコ問題の進展を追ってみました。
EU
今年中に全面禁止の動き
ネオニコ規制から3年が経過したEU 諸国内では、ミツバチが元気を取り戻したと養蜂家からの喜びの声があがっている一方で、農薬の規制に反対する勢力の動きが活発になっています。.

バイエルやシンジェンタなどの農薬企業は、欧州司法裁判所にネオニコ暫定禁止決定の取り消しを求めて訴訟を起こしており、2017年2月の Wall Street Journal 誌によれば、司法裁判所でバイエル、シンジェンタと欧州委員会のヒアリングが開催されました。
また、反農薬団体(PAN Europe)によると、この間に非合法的にネオニコを使用する事例が後を絶たない状況のようです。

ネオニコ一時使用中止の規制には大きな抜け穴があり、「緊急例外措置」を利用してこれまでに62の事例で例外的使用が認められてきたそうです。
しかし、そういう状況の中でも、フランスは2018年9月よりネオニコを全面禁止する法案を可決し、オランダでも同様の動きがあります。

そして2017年3月末 Guardian 誌は、ついに EU がネオニコを全面禁止しようとしていると報じました。

今回は、これまで例外的に使用が認められてきたハウス内での使用は除いた全面禁止の模様で、5月に EU 加盟国で採決が行われ、可決されれば今年中に実行に移されることになります。
米国
危険性を認め始めたEPA
 米国では、ネオニコ禁止を求める市民団体の活動が活発であるのと同時に、農薬企業の政治への介入も大きく、これまでネオニコの規制はほとんど進まない状況でした。

しかし2015年には、高まる市民団体や養蜂家の声を受け、ネオニコ4成分を含む製剤の新規登録が禁止され、それらの再リスク評価が行われた結果が2017年1月12日に発表されました。
Guardian 誌は、米国環境保護庁(US EPA)がついに、広く使用されている農薬がミツバチに影響を及ぼすことを認めたと報じましたが、それに対して CCD(蜂群崩壊症候群)の 問題提起 をした 養蜂家Hackenberg のコメントは、「EPA の動きは遅すぎる! 20年もかかった。化学工業会との関連が深すぎる!」というものでした。
このようにネオニコの規制が難しい状況の中で、米国では一部ネオニコの危険性が認められ、使用制限については一部ですが進展がみられました。