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発達障害を持つ小中学生が増加―ここ十数年の変化
発達障害と特別支援教育
公立小中学校では、障害のある子ども一人ひとりの教育的ニーズに応じた適切な指導や特別な支援が「特別支援学級」や「通級による指導」によって実施されています。
どちらも特別支援教育ですが、通級による指導は、通常の学級での学習におおむね参加でき一部特別な指導を必要とする子どもが各教科などの指導は通常の学級で受け、障害に応じた特別の指導を特別の場で受ける教育形態です(下図参照)。
近年、発達障害のためにこうした特別支援教育を受けている小中学生が増加しています。
発達障害とは、生まれつきまたは幼児期の怪我や病気により、脳機能の発達に影響が出る障害です。
発達障害者支援法では「自閉症、アスペルガー症候群その他の広汎性発達障害、学習障害(LD)、注意欠陥多動性障害(ADHD)その他これに類する脳機能の障害であってその症状が通常低年齢において発現するものとして政令で定めるもの」と定義されています。
しかし、中には定義されている症状が当てはまらなかったり、複数の障害の特徴を併せ持っていたりするなど障害の状態は多様です。
発達障害を持つ小中学生がここ数十年で増加
なんらかの発達障害を持つ小中学生がここ十数年の間に増えていることが、上のグラフを見るとお分かりいただけると思います。
平成18年から平成27年までの10年間の変化を確認してみましょう。
小中学校の在学者数は少子化により減少傾向です。
平成18年には約1079万人でしたが、平成27年には約1009万人と約6.5%減少しています。
しかし、特別支援学級に通う小学生のうち自閉症・情緒障害がある子どもは、3万2929人から9万157人と2.76倍に増加しています。
また、注意欠陥多動症、学習障害、自閉症、情緒障害のために通級による指導を受けている小中学生も9792人から5万2606人と約5.37倍に増加しています。
在学者数全体に対して、自閉症や情緒障害等のために特別支援教育を受けている小中学生(特別支援学級と通級による指導の両方を含む)の割合は、平成18年には約0.4%でしたが、平成27年には1.41%と高くなっています。
小中学生の6.5%に発達障害の可能性
平成24年に文部科学省が行った「通常の学級に在籍する発達障害の可能性のある特別な教育的支援を必要とする児童生徒に関する調査」の結果も、日本の子どもたちに発達障害が増えている可能性が高いことを示唆しています。
この調査は、全国の公立の小中学校に在籍する児童生徒を母集団として、そのうち5万3882人を標本児童生徒として行ったものです。
学級担任を含む複数の教員により判断された回答内容から、知的発達に遅れはないものの学習面または行動面で著しい困難を示すとされた児童生徒の割合は6.5%。
つまり35人学級なら2~3人は発達障害の可能性が疑われることになります。
この調査は医師によって医学的に発達障害と診断されている小中学生の数を示しているわけではありませんが、日ごろ、子どもたちと接している教員に対する調査の結果であり、発達障害の可能性を持つ小中学生が増えていることを裏付けています。