ここで、フジイさんが「東電フリー」生活から得たアイデアをいくつか紹介しよう。
●ソーラークッカー
太陽熱で加熱する調理器具。驚くほどの熱量があり、食材のうまみが引き出せる。市販もされているが、ステンレスシートなどを使って手作りも可能。
●手作りCDライト
電球の傘のようにCDをLEDライトのまわりに取り付ける。
鏡面に反射して光量が大きくなる。
●植木鉢ストーブ
金属製のバットの上に網を敷き、キャンドルを置いた上に植木鉢をかぶせると火鉢のような暖かさに。大小の植木鉢を組み合わせて二重にすると、さらに効果的。
現在は第二種電気工事士などの資格を取得しているフジイさんだが、最初は特別な知識など何もなかった。
「ゼロから始めた主婦としては、まずは身近な節電に目を向けていただければと思います。待機電力をおさえるために、こまめにプラグを抜く。バスタオルは洗濯時にかさばるのでフェイスタオルを使用する、乾きやすい麻の素材を使用することなども、節電につながります。また、ドライヤーやアイロン、電子レンジなどの消費電力の大きい家電を同時に使わず、使用時間を分けることで、アンペア数を下げることができます」
フジイさんの取り組みは『ソーラー女子は電気代0円で生活してます!』にまとめられている。
西武線飯能駅から車で約30分。
埼玉県入間川の源流に位置する旧名栗村の下田家は、「東電フリー」を実践して5年目に突入した。
夫の亘さん(58)、妻の洋子さん(53)、双子のさちさん、ゆきさん(20)の4人暮らしで、暖房、炊事、入浴と、必要な熱量のほとんどすべてを薪炭で得る。
山間地だけに夏は涼しくてエアコン要らず。
冷たい湧き水のお陰で冷蔵庫も必要ない。
建坪15坪の木造住宅は、棟上げ、屋根工事までは業者に任せ、内外装工事は自分たちで、1年半かけて仕上げた。
当初から「無電化住宅」を考えていたので、開口部を広く取るなど採光に配慮。必要な電力は最小限にとどめ、いわゆる「白物家電」は洗濯用の脱水機だけ。
1.2ワットのLED電球8個と、大工仕事に使う電動工具、スマホの充電などはソーラー発電で賄う。あまりの徹底ぶりに、娘のさちさんからはこんな本音も。
「環境にも健康にもいいのはわかりますが、トイレは臭いし……。両親はいいでしょうが、私はもう少し便利な暮らしがしたいです」