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私はこれで「電気」をやめました 「東電フリー」な電気代0円生活
更新 2017/10/29?07:00 週刊朝日
染織作家であるフジイさんの仕事部屋。
「東電フリー」でもミシン...
2011年の東日本大震災と、それに伴う原発事故により、節電を意識するようになった人は多いはず。
さらには、電力会社との契約を解除し、すべての電力を自力で賄っている人たちも存在する。そんな「東電フリー」な生活とは?
都内の公営団地に暮らす染織作家フジイチカコさんが「東電フリー」生活に一歩を踏み出したきっかけは、東日本大震災だった。日中と夜間に3時間ずつ、合計4回の計画停電を経験し、近所の友人とロウソクの灯るカフェに集まり、不安を分かちあった。
「たまたま私がキャンプ用に持っていたソーラー式ランタンが役立ち、電気を自給する『オフグリッド』やソーラーパネルの話で盛り上がりました。
エネルギー問題について考えている人が多く、仲間と情報交換をしながら節電を始めたのですが、すっかり楽しくなっちゃって」
まず取り組んだのは、契約アンペア数を30アンペアから15アンペアに下げること。
すると3千円台だった電気料金が、一気に2千円台に下がった。
約半年後の2011年秋には冷蔵庫のプラグを抜いた。
24時間365日使いっぱなしとなる冷蔵庫は、家庭での消費電力の約14%を占める。当初はハードルが高いと思ったが、結果は「なくても意外と大丈夫」だった。
「野菜や卵は常温でも保存できるし、生鮮品は近所のスーパーでそのつど買えば問題ありません。また体が野菜中心の生活になじんで、肉や魚はほとんど口にしなくなりました」
掃除は箒や雑巾を使えばいいし、お米は鍋で炊けばいい。
ストーブにやかんを置けば加湿器代わりになる。
掃除機、炊飯器、加湿器、ドライヤー、トースターなどの家電製品は、次々に押し入れ行きとなった。電話機も、昔ながらの電気の必要ないタイプに買い替えた。
そして12年8月、契約アンペア数を最小の10アンペアに落とした。
「月の電気代は千円に下がりましたが、仕事上必須のアイロンが15アンペア必要なので、とても困りました。インテリアに買ってあった骨董品の炭火式アイロン(グラビア参照)が役に立ちました」
並行してソーラーパネルを12万円で譲ってもらい、ベランダに設置。
そして12年9月1日(奇しくも防災の日)、ついに東京電力との契約を解除した。
現在、フジイ家はソーラーパネル4枚で、1日最大2キロワットの電力を賄う。
発電効率が最も上がるのは黄道(太陽が通る軌道)が低くなる冬の晴れた日で、使い切れないくらい発電してくれる。
「化石燃料に頼らなくても、こんなに自給できるのかと驚きました。余った電力をみんなにおすそ分けしたいくらい(笑)」
ソーラー発電の欠点は、天候に左右されること。
特に雨の日は発電量が乏しくなる。
そんなときは知人から譲り受けたエアロバイク発電機で自家発電する。
10分ペダルを漕ぐだけで、脱水機3分、扇風機3時間、5ワットのLEDランプ(白熱灯で40ワット相当)2時間分の発電が可能だ。