47:2005年3月 デンマークEPAの報告書多種化学物質過敏症 MCS | 化学物質過敏症 runのブログ

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・9 まとめ、結論、勧告
 

9.1 まとめ

9.1.1 目的

 過去20年間、世界中の、特に北アメリカの医師たちは、多種化学物質(MCS)と呼ばれる新しい病気について述べてきた。

この病気を持つ人々は、他の通常のほとんどの人々には問題が生じないような非常に低濃度の香気/臭気に曝露すると、様々な症状が出る。

MCSの人々には、客観的な物理的身体変化は現われない。

 デンマークではMCSの知見は限られており、MCSを被っている人の数すらはっきりしない。

環境中の化学物質に目を向けた取組みを計画するに当たっては、MCSの可能性ある因果関係とデンマークにおけるMCS罹患率を明確にすることが重要である。

 本報告書は、入手可能な文献、専門家の意見、及び諸外国当局の経験を体系的に調べることによって、MCSの知見と経験の概要を述べるものである。

 本報告書は次の疑問に答えるよう試みた。
低濃度の化学物質によって引き起こされるMCSについての客観的な文書は存在するか? 
MCSの背後にある機序は文書化されているか? 
デンマークのMCSに関しては、どのような化学物質と環境曝露が特に関連しているか? 
どのようにすれば防止が可能か? 
9.1.2 MCS の記述と定義

 MCSは多くの名前を持っており、明確な定義のない病気であり、他の状態がMCSに非常によく似た症状を示す。

それらは、屋内環境症候群、湾岸戦争症候群、慢性疲労症候群、線維筋痛症、などである。

これらの全ての状態は集合的に環境病と呼ばれている。

下記に述べる特性は、いくつかの科学的な団体や研究者らの定義と一貫性があり、MCSを他の環境病から区別するために用いられている。

 MCSは通常、高濃度の化学物質への初期曝露によって誘発される。その後、低濃度の化学物質へ曝露することと関連して、いくつかの器官に症状が出る。

その症状はしばしば匂いに関連する。いくつかの関連のない化学物質からの匂いにより症状が出ることもあるが曝露がやむと症状は消える。症状は反復曝露によって誘発される。

もしその病気がMCSと診断されるべきものなら、患者は、その症状の原因となる他の疾病を被っているということはない。

 トラウマ的出来事(身体的及び心因的トラウマ又は重大な感染症)もまた、MCSを誘発すると報告されている。

 初期曝露、すなわち第1段階に、ひとつの化学物質への曝露が複数の化学物質への反応のパターンを変える。

第2段階である”引き金”段階は、低濃度の匂いが”攻撃”を誘発してから数ヵ月後に始まる。

そのうちに、攻撃を誘発する匂いの数が増大して、香水や車の排気ガスなどの”日々の匂い”を含むようになる。

やがて、症状もまた数が増える。症状の進展は通常、慢性的である(しかし、無意識のうちに回復することもある)。

 ある患者たちは週に数回体調が悪くなるが、仕事は続けることができる。

またある人たちは毎日、体調が悪くなり、仕事を辞めたり、日々の活動を制限することを余儀なくされる。

9.1.3 国際的な活動と研究

 医学研究の研究所及び専門家からの支援を得て、アメリカの当局は1990年から1998年の間にMCSの全ての局面を取り扱う数多くの専門家会議を開催した。

病気の機序及び研究戦略に関する会議で数百の科学論文と報告書が発表された。医学界組織の全てがMCSに関する議論において彼等の公式見解を表明した。