40:2005年3月 デンマークEPAの報告書多種化学物質過敏症 MCS | 化学物質過敏症 runのブログ

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7.2 MCSの診断

 MCSは科学的医学基準を用いて疾病(disease)として認められない限り、その状態は、WHOの国際疾病分類第10版(ICD-10)に登録されない。したがって、それはデンマークの統計に含まれない。

 アメリカでは、長年、MCSの問題に取組んできたいくつかの分野からの34人の医師と研究者からなる主導グループが、アメリカにおけるMCS診断に関する停滞からいかに脱するかを提案した(Consensus, 1999)。

 その提案は下記を含む: 
臨床的定義の標準化 
診断のための臨床的計画案 
 臨床的定義は6項目を含み、そのうち5項目は89人の臨床医師と研究者(アレルギー学者36人、産業医23人、臨床環境医師20人、内科及び耳鼻咽喉科の専門家10人)によって承認された(Nethercott, 1993)。

この主導グルプは下記6項目を提案した。

表7.1 MCSの臨床定義のための6基準

症状は化学物質の反復曝露で再現性がある。 
状態は慢性的である。 
低濃度(患者の以前の耐性より低い)で体調不良が生じる。 
曝露源が除去されると体調不良は改善されるか消える。 
様々な関連性のない化学物質が体調不良を引き起こす。 
病気の症状はいくつかの器官にまたがる。 

 このグループは、全ての6基準に合致する場合は、たとえ他の病気(例えば、ぜん息、偏頭痛、慢性疲労症候群、など)があっても、MCS診断は確実であるということを提案した。

 このグループはまた、臨床計画と研究計画のための具体的な提案を行った。

その提案はいくつかの病気の研究を結合する可能性を含んでいる。

表7.2 臨床計画のための提案

承認されたスクリーニング用質問書 
異なる診断の場合に選択されるべき病気 
臨床化学パラメータ(ピアレビューされた文献中で発表されたもの)、たとえ、それらはMCSのバイオマーカーとして一般的に受け入れられていなくてもよい 
定量的及び定性的な方法を用いての全てのMCS症例のフォローアップ 

表7.3 研究計画のための提案

患者グループを選定するためのMCS基準(包含/除外基準が示されること) 
診察された患者グループの完全な記述(病人及びコントロール) 
他の環境病との重複の登録と報告 

 アシュフォードとミラー(2002)は、環境負荷と化学的過敏性を登録するために、健康不具合、化学物質耐性、症状のために変更を余儀なくされた生活条件、などに関する質問書の標準フォームを発表した。

 クツオギアニスとダビドフ(2000)は、症状、タイプと期間、曝露、匂い及び他の要素に対する過敏性など、6つの分野におけるMCS関連の問題点を登録するために、単純な生物測定学的質問書を開発した。

この方法はデンマークにおける状態の登録に適している。

比較的簡単な方法で、以前に溶剤に曝露した人々中から、典型的なMCS症状をもつ人々を見つけることができる。

7.3 コメントと結論

 これまでに、MCS診断を確認する又は論駁するいくつかの手法が提案されたが(例えば、生物免疫分析、脳機能の電子的登録、質問調査、等)、現在までの所、まだ満足すべきものではない。

 デンマークの健康介護システムには、MCSの診察についても、診断についても、そのガイドラインが存在しない。

本章は、デンマークにおける将来の調査のための示唆としての提案を含んでいる。

 デンマークがMCSについてのよりよい知識を獲得することが重要であり、環境病及びMCSに関し最先端を維持することは可能である。

 最初に病気を定義するデンマーク基準を、そして可能なら、その病気を登録する方法を確立すべきである。