・化学物質含有量を知るために
化学物質等安全データシート(MSDS)
事業者が製品を他の事業者に出荷する際に、相手方に対して、その成分や性質、取扱い方法など使用された化学物質に関する情報を提供するよう交付を義務付けられた書類です。
現状では揮発性有機化合物(VOC)に関して判断する表示がないため、製品に含まれる化学物質を調べる有効な手段です。
ただし、原則として含有量1%未満の物質は記載する必要がありません。
JAS・JIS規格
JAS・JIS規格ではホルムアルデヒドの発散量によって等級区分があり、次のような表示記号があります。
なお、建築基準法では、等級に応じて内装仕上げの建材の使用を制限しています。
健康に関する相談・苦情発生時の対応ポイント
○ 相談者から症状等を聞き取り、必要であれば症状緩和のための治療を勧める。
まず、相談者の状況を把握する必要があります。相談の段階でシックハウスかどうかの判断はできません。発生日時、場所、発症状況等を聞き取りましょう。
症状等から必要とあれば、医療機関の受診を助言します。
まずはかかりつけの医師とじっくり相談してもらい、目に異常を感じる人は眼科、皮膚に異常を感じる人は皮膚科、消化器系に異常を感じる人は消化器科内科、婦人科系に異常を感じる人は産科・婦人科等、それぞれが異常を感じている部分の専門医の診療を受け症状緩和の措置をとってもらうことが必要です。
さらに複雑な症状を訴えており、簡単に判断できない場合には、必要に応じて内科、アレルギー科、心療内科等で総合的な診療相談を受けてもらうことを勧めたほうがよいでしょう。
○ 施設の換気を励行する。
施設を原因とするシックハウスの可能性がある場合、原因を低減・除去しなければ再発することになります。
外気が汚染されているといった特殊な場合を除き、最も有効で基本的な汚染物質の低減策は換気です。
○ 発生源を推定し、改善措置を講じる。
施設を原因とするシックハウスの可能性がある場合、原因を追究し発生源の把握が重要です。
まず、改修を行った、新たな家具等を購入した、壁紙を張り替えた、防蟻処理を行った等、発生時期に特定の変化がないか確認します。また、その際に使用された化学物質について把握します。
さらに、室内化学物質濃度を測定することで推定の一助となります。
室内化学物質濃度を測定する場合は、厚生労働省の定める標準的測定方法に準じて測定します。測定の実施にあたっては、実施可能な検査機関に相談し依頼しましょう。検査機関の選択には、(財)住居リフォーム・住宅紛争処理支援センターのホームページ(http://www.chord.or.jp/)に公開されている「厚生労働省で示されている室内空気中の化学物質の標準的測定方法による測定が実施できる分析機関一覧表」が参考になります。
特定の変化及び室内化学物質濃度等から発生源を推定し、低減化あるいは除去を行いましょう。
室内空気中化学物質測定機器の種類
室内化学物質の測定方法はいろいろあります。
それぞれの特徴によって使い分ける必要があります。
吸引方法(アクティブ方式)
捕集管にポンプを用いて強制的に室内空気を接触させ、捕集した各物質を高度な分析機器を用いて分離し検出器を用いて同定・定量します。比較的短時間の捕集でも多量の空気を捕集管に接触させることができ、その中に含まれる測定対象物質を捕集することができます。
採取だけでもポンプや流量計等の比較的高価で大がかりな器具を必要とするため、専用技術と設備を有した機関でないと行うことは難しいです。
拡散方法(パッシブ方式)標準的測定方法(吸引方法)と相関の高い結果が得られることが実証されている方法です。
吸着剤を室内に静置して化学物質を吸着させ、分析機器を用いて分離・定量します。
比較的長時間のサンプリングが必要ですが、採取時にポンプを使用しないため手軽にサンプルの採取が行えます。
また、多くの場合、販売業者を仲介し捕集管を輸送して分析を依頼でき、依頼者の負担は比較的安価です。
簡易測定機器による方法検知管方式や検知紙方式、電気化学方式等があります。
機器によって精度上の問題がある等安定した測定値を得ることが難しいですが、測定結果がすぐにわかる等の利点があります。