-7「本態性環境非寛容症(化学物質過敏症)」有訴者の基本的特徴 及び発症原因 | 化学物質過敏症 runのブログ

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4. 考察 

4.1 医師による診断の有無と診断地域  本症、またはその疑いがあるという医師の診断を受けた有訴者が約53%いた一方で、診断を受けて いない人も多い。

本症に対応するとして知られている病院・診療所のある 11 都道府県以外に住む有 訴者、また関東地域以外に住む有訴者は、遠方まで診断を受けに行った人、診断を受けていない人が 多い。

関東地域には本症の診断をすることで知られている病院・診療所が少なくとも 5 カ所あるが、 関東以外ではまだその数は少ない。

住居の比較的近くに本症の診断をする病院や診療所がないことが 医師の診断を受けていない一因になっていると考えられた。  

このことは有訴者の自由記入欄には本症を診断できる医師が少ないとの意見が多数あったことから も裏付けられた。

特に有訴者には、外出中に暴露される可能性が高い車の排気ガスやタバコの煙、整 髪料、香水などをきっかけに症状が誘発される人が多いこと(糸山ら, 2004)、頭痛、認識障害、呼吸器・ 粘膜症状などの症状が重い人も多いこと(糸山ら, 2003)がわかっている。

そのような有訴者にとって遠 方の病院まで受診しに行かざるを得ない状況は、負担が大きいと考えられる。 

診断については一部の本症の専門医は診断基準を決めて診断を行っており(石川, 1998)、それらの経 験豊かな医師による診断基準等の知識が一般の医師に広く普及されることが望まれる。

また、治療は 比較的長い治療期間を要するが、治療により回復すると多少敏感な性質だけは残る人が多いが、化学 物質に相当程度は耐えることが出来るようになる(石川ら, 1999)、とされている。

治療手順は、①原因 物質からの隔離、②身体状況の改善、③体内からの有毒物質の排出 (石川, 1999) とされ、専門家によ る治療と各人による健康管理の両面が必要である(石川ら,1993)。

図6に示すように有訴者自身による 工夫で改善することもあり、「もっと早く診断が下っていたら、これほど悪くならなかったと思う」と いう有訴者自身の意見もある(村山ら,2001)。

改善の遅れや症状の悪化を防ぐためにも、適切な診断を 有訴者が早期に受け、専門家による効果的な治療を受けたり、有訴者自身が適切な健康管理を行える ように、本症についての知識の普及と適切な診断・治療ができる医師の増加が望まれる。