・資料3 建築基準法(昭和二十五年五月二十四?法律第二百一号)
建築基準法は、昭和 25(1950)年に「建築物の敷地、構造、設備および用途に関する最低の基準を定めることによって、国民の生命や健康を保護する」ことを目的として、施行された法律です。
対象はいわゆる「建築物」全般であり、建築物の設計や設備の内容などの基準が示されています。
建築基準法では、シックハウス対策の対象となる化学物質をクロルピリホスとホルムアルデヒドとし、それぞれについて建築材料としての使用における制限を示しています。
1) 内装仕上げに使用するホルムアルデヒドを発散する建材の制限
2) 全ての建築物に機械換気設備の設置の義務付け
3) 天井裏、床下、壁内、収納スペースなどからの居室へのホルムアルデヒドの流入を防ぐための措置の義務付け
4) クロルピリホス(シロアリ駆除剤)の使用禁止
クロルピリホスは、有機リン系殺虫剤で、農薬の他、防蟻剤として土台や柱などの木部に吹き付けたり、床下土壌の前面に散布する方法で使用されていました。
しかしながら、シックハウス症候群を引き起こす可能があるため、居室を有する建築物ではクロルピリホス添加建築材料が使用できなくなりました。
ホルムアルデヒドは、接着剤、塗料、防腐剤などの成分であり、建築材料に広く用いられている有機化合物です。
常温で気化しやすく、低濃度でも人体に悪影響を及ぼすことから、改正建築基準法では、居室と居室に通気路を通してつながっている廊下やその他の場所でホルムアルデヒド発散建築材料を使用することを制限しています((資)表-3)。
制限を受ける箇所は、壁、床、天井だけでなく、扉や建具等の内装も含まれます。
またこの法律では、換気設備の設置についても規定しています。
但し、一定基準以上の床面積を持ち、中央管理方式の空気調和設備を設けている建築物や、一年を通じて居室内のホルムアルデヒド濃度が0.1mg/m3 以下に保たれると認められる居室は、この規定は適用されません。
建築基準法に基づくシックハウス対策に係わる規制は平成15(2003)年7月1日以降に着工された建築物に適用され、それ以前に着工されたものには適用されていません。
資料4 建築物衛方法
生活や活動の場である建築物は、健康で衛生的な環境が確保されなければなりません。
そこで、1970年(昭和 45 年)に「建築物における衛生的環境の確保に関する法律(建築物衛生法)」が制定されました。
1970 年に法律が制定された当時は、浮遊粉じん量、一酸化炭素濃度、二酸化炭素濃度、温度、湿度、気流に関する空気環境の維持管理基準が規定され、2 ヶ月以内に定期的にこれらの項目の測定が規定されました。
その後、2003 年(平成 15 年)に、シックハウス対策を盛り込んだ改正が施行され、建築物の建築、大規模修繕、大規模な模様替えを行った際のホルムアルデヒド濃度の測定が義務付けられました((資)表-4)。