112;科学的根拠に基づくシックハウス症候群に関する相談マニュアル(改訂版) | 化学物質過敏症 runのブログ

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・第Ⅴ部 症状の訴えへの対応
第 11 章 本態性環境不耐症
第 11 章 本態性環境不耐症
本章では、本態性環境不耐症について、これまで国内外で行われた調査研究結果や関係機関等における公表情報等を中心に情報収集し、知見を整理しました。

本症は、化学物質や電磁波など、さまざまな環境要因に対して、通常であれば許容できるレベルに対して不耐性を示す状態を示します。

シックハウス症候群といわゆる「化学物質過敏症」の疫学、疾病概念、予防や対策等の違いについては第 3 章に述べられていますが、本章では、化学物質過敏症と、近年頻繁に取り上げられてきた電磁過敏症について、概説します。
11.1. 疾病分類と診療における扱い
世界保健機関(WHO: World Health Organization)は、国際的に統一した疾病、傷害および死因の統計分類の体系として、 国際疾病分類(正式名称「疾病及び関連保健問題の国際統計分類」ICD:International Statistical Classification of Diseases and Related Health Problems)を公表しています。
ICD は、死因や疾病の統計などに関する情報の国際的な比較や医療機関における診療記録の管理などに活用されています。

現時点での最新版は国際疾病分類第 10 版(ICD-10)です。
ICD-10 において、多種化学物質過敏症(MCS: Multiple Chemical Sensitivity)や本態性環境不耐症(IEI: Idiopathic Environmental Intolerances)(第 3 章 4 節 参照)は傷病名として分類されていません。WHO は、ICD-10 の解説(WHO/SDE/OEH/99.11)において、労働と関連が疑われる詳細不明の健康問題、例えばシックビルディング症候群、MCS、電気的アレルギーなどが混在した状態についてのコード化方法を解説しています。

そして、明確に定義された診断基準を定めることや、病因論に関して結論を出すには時間が掛かるが、このような新しい問題を特定可能にする、あるいは何らかのかたちで分類することは、実態調査等を行うにあたりとても重要であるとしています。

そのため、それらの状態に対しては、ICD-10 の一般原則に従って、最も重大な症状について、一次診断(primarydiagnosis)としてまずコード化し、他の症状は二次診断(secondary diagnosis)としてコード化する必要があると書かれています。
日本では 2002 年、ICD-10 に対応した傷病名とマスター(診療報酬明細書請求用)及び標準病名マスター(電子カルテ用)において、「シックハウス症候群/シックビルディング症候群」が登録され、基本分類コードとして ICD-10 の T529(有機溶剤の毒作用:有機溶剤、詳細不明)が付与されています。
また、2009 年には「化学物質過敏症」が傷病名マスター及び標準病名マスターに登録され、基本分類コードとしてICD-10 の T65.9(詳細不明の物質の毒作用)が付与されています。従って、日本でシックハウス症候群や MCS を診療している医療機関では、保険診療が行われています。但し、これらの病態の診断は、問診等に基づいた医師の判断に委ねられているのが現状です。