5.3.2. 湿度
相対湿度は温熱快適性に関連するだけでなく健康に対しても各種の影響を及ぼします。
夏期 においては同じ温度でも湿度が低いほど快適に感じます。
しかし相対湿度が低すぎる場合には 特に冬期においては皮膚の乾燥、ドライアイ、呼吸器疾患、アレルギー鼻炎・喘息などの原因 となります。
インフルエンザウイルスは低湿度ほど活性化することが明らかとなっています 6)。
一方、高湿度の場合には、カビ・ダニが繁殖し、その結果、アレルギー疾患など健康への影響 が出てきます。
高湿度で結露やカビが発生している建物はダンプビルという言葉で呼ばれてい ることは、先に述べました。
また、高湿度の場合には化学物質の蒸発作用が促進されシックハ ウスを引き起こす可能性が大きくなります。
高断熱住宅では冬期の乾燥が問題として指摘されることが多くなっていますが、これはそれ までの住宅に比べて同じ量の水蒸気が発生しても温度が全体的に高くなっているために相対 湿度が低くなることが原因の一つではないかと推察されます。
また化学物質が乾燥感を引き起 こす可能性のあることが指摘 7)されています。
一方、空気質にも湿度は影響し、湿度が高いと臭いの強度が強くなり、低いと空気を新鮮に 感じるということが、研究によっても明らかにされています 8)。
いずれにしても相対湿度は高すぎないようにまた低すぎないように調整することが大切で す。しかしながら、一般の住宅の場合には湿度の調整は難しく、居住者が加湿器や除湿機を持 ち込んで対応していることが多い状態です。湿度の調整は、これからの大きな課題です。