47;科学的根拠に基づくシックハウス症候群に関する相談マニュアル(改訂版) | 化学物質過敏症 runのブログ

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e. 微生物由来揮発性有機化合物(MicrobialVolatileOrganicCompounds:MVOC) 室内に生育する微生物(細菌やカビ)などによって室内の有機物質は代謝や分解され、アル コール類やケトン類、カビ臭のもととなるジェオスミン(有機化合物の一種)等の化合物を生 成します。

これらの化合物は微生物由来揮発性有機化合物(Microbial Volatile Organic Compounds: MVOC)と言われ、症状との検討がなされ、150 種類以上存在すると言われています。 

代表的な 1-オクテン-3-オールの室内空気中濃度がアレルギー性鼻炎の発症率に関与するとす る報告があります。

 

5.1.2. 化学物質の測定 

環境測定に関し作業環境の定義では測定をデザイン、サンプリング及び分析(解析)と定義 しています。

「デザイン」は実態を明らかにするために測定計画を立てることです。

「サンプ リング」は捕集等に適したサンプリング機器をその用法に従って試料を採取し、分析を行うた めの前処理を行うことです。

「分析(解析)」は測定しようとする物を分離し、定量し、又は 解析(評価)することをいいます。シックハウスの測定で必要なことは測定の目的をはっきり して行うことです。

すなわち、実態を明らかにするするための測定計画「デザイン」が重要で す。

シックハウスの測定計画の「デザイン」には次の 5 種が考えられます。 

  • 1)  予防として入居前の新規住宅(増築やリフォーム)の環境濃度を把握するためのデザイン
  • 2)  入居後に室内の環境濃度を知る場合や環境濃度が気になる場合のための(自覚症状がある
    場合)デザイン
  • 3)  個人個人の生活環境の行動範囲でのばく露濃度を知りたい場合のためのデザイン
  • 4)  生活環境で体内に有害物質が吸収された量を知りたい場合のための(生物学的モニタリン
    グ)デザイン
  • 5)  ある程度の長時間のばく露(数か月から数日)を知る方法として住居のダストを用いるデ
    ザイン

「サンプリング」は化学物質の性状(粉じん、液体、気体)によって捕集方法が異なります。 

例えば一般的に粉じんならろ過材に捕集、気体なら個体に(活性炭やシリカゲル)吸着捕集、 液体なら液体に捕集します。

捕集時間もポンプを用いる場合(ポンプ法)、ポンプを使用しな い場合(拡散法:(2)で説明)により異なります。捕集条件は、部屋の開放、密閉、測定位置 などにより異なります。 

「分析(解析)」は化学物質の成分や構造によって方法が異なり、精度や感度も異なり、検 討委員会では液体クロマトグラフ(HPLC)、ガスクロマトグラフ質量分析(GC/MS)が用いら れています。

また、解析をするための評価は一部の物質について指針値が公表されています。 

 以下に、デザイン、サンプリング方法、分析等の例を示しますが、実際にデザイン、サンプ

リングをするには上記に述べた様に色々な条件を考慮する必要があり、一般的には専門家の力

をかりて測定をする場合が少なくありません。

依頼者は測定するデザインを良く話し合って行うことが必要です。

a. デザイン、サンプリング方法
(1) 予防として入居前の新規住宅(増築やリフォーム)の環境濃度を把握する場合のデザイン 

室内に放散される VOC の最大濃度を推測します。

このデザインは入居前(生活前)ですから 家具や生活用品(備え付け家具クローゼットなどは省く)などの持ち込みが無い、生活実績の ない住宅を想定しています。

一般的な手順を次に示します。ポンプを用いる場合と拡散法を示 します。

MVOC の発生を確認する為に Alternaria alternata、Eurotiumherbariorum、 

Aspergillus penicillioides の 3 種類の真菌(カビ)を用いて行った実験例(培地を含む) では、エタノール、2-ペンタノン、1-オクテン-3-オール、3-オクタノールの発生が見られて います。

表 5.1.4.の VOC の用途と分類(MVOC と TVOC を含む)に代表的な MVOC を示しました。 

測定された化学物質が MVOC であるかどうかを確実にするには室内のカビの測定も必要だと思 います。