5.1.1. 主な発生源
a. 酸素、一酸化炭素、二酸化炭素
地球の酸素濃度は約 21%で、私たちが生きるのに無くてはならないものです。
人間は呼吸で 酸素を取り入れ、体内で消費して二酸化炭素(CO2)を放出しています。
酸素は、燃料を燃やすと きに、大量に使われています。
この酸素は植物や海藻類などがつくり出し、使われる量とのバ ランスがとれています。
けれども、最近は、使われる酸素の量や、酸素が燃えてできる二酸化 炭素の量が増え、空気中の成分の割合も変化することが心配されています。
酸素による中毒は 酸素が少なくなった時に起こります。
労働安全衛生法に基づく酸素欠乏症等防止規則では酸素 欠乏を「空気中の酸素の濃度が十八パーセント未満である状態」と定められています。
この酸 素欠乏が起こりうる場所は、風通しが悪く、酸素を消費する物質がある場所です。
例えばマン ホールの内部、井戸の内部では酸素が少なくなる可能性があります。
住居では石油ヒーターや ストーブ、ガスファンヒーターなど、燃料を直接燃やすことは酸素を使って燃やしているわけ ですから、密閉された室内で長時間の燃焼を続ければ酸欠になる可能性があります。もちろん 一酸化炭素や二酸化炭素も増加します。
一酸化炭素、二酸化炭素の関係は、物を燃やした時や 人間の呼吸で、二酸化炭素(CO2)が発生し、物を燃やす時に不完全燃焼を起こすと一酸化炭素 (CO)が発生します。
室内では火を使う所(台所、冬場ではストーブ等、換気の悪い部屋)で 酸素の減少と一酸化炭素、二酸化炭素の増加が起こります。
しかし、二酸化炭素は飲料水のサ イダーやビールにも入っており飲料水として飲んでいます。二酸化炭素の分子構造は安定して いるので、壊れにくい気体です。
一酸化炭素は不安定で酸素が一つしかない分子構造のために 他の酸素と結合して早く安定した二酸化炭素(CO2)になります。
人への影響は一酸化炭素が肺 に入ると血液中で酸素を運ぶ役割のヘモグロビンと結合し、全身に酸素が届かなくなります。
短時間の軽い症状では顔色が赤くなる、急な疲労感や頭痛、吐き気、めまいを感じる、手足に しびれを感じます。
長時間で重症の場合は、意識消失、心臓、呼吸の停止、更には脳細胞に酸 素が行かなくなり脳死となります。
図 5.1.1.には東京都の一酸化炭素中毒事故件数を示してい ます。平成 21 年から 25 年までで住宅で 74 件が発生し、そのうち 12 件はガスコンロやガス湯 沸器などのガスを使用する場所で起こっています。
特にガスコンロやガス湯沸器を使用する場 所では換気が必要です。
二酸化炭素はごくありふれた物質ですが、空気中の二酸化炭素濃度が 3~4%を超えると頭 痛・めまい・吐き気などを起こします。
表 5.1.2.は酸素、一酸化炭素、二酸化炭素濃度の症状 と基準値を示します。